食道|対応疾患

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食道がん

基礎知識

 食道は食道入口部(のどの奥)から胃の入口までの細い管状の臓器で、ここに発生する癌が食道癌です。食道癌は日本人などの東洋人に多く、年齢的には60歳台がピークで、女性に比べ男性に約6倍多く見られます。食道癌の発生を高める危険因子としてはタバコ、飲酒、熱い物や刺激物の摂取などがあり、その他アカラシア、腐蝕性食道炎、異型上皮、バレット食道などの病気も食道癌になりやすいことが知られています。特にお酒を飲むと顔が赤くなる人はフラッシャーと呼ばれ、毎日多飲すると非常に危険です。日本では胸部中部食道に多く、そのほとんどが扁平上皮から発生する扁平上皮癌ですが、欧米では腺癌が半数程度を占めており、近年、食事の欧米化や肥満体型により日本でも下部食道の腺癌が増加してきています。

症状

 早期ではほとんど無症状ですが、進行にしたがって食事時の喉や胸(背中)の違和感、しみる感じ、痛み、食事のつかえ感、嚥下困難、嘔吐などが出現します。その他、体重減少、嗄声(かすれ声)、咳嗽、吐血などもあります。

診断方法

主な検査方法として以下の方法があります。

●食道造影
バリウムを飲んで食道を通過するところをX線で撮影し、病変の部位、大きさ、深達度を調べます。

●上部内視鏡検査
病変の部位、大きさ、深達度を調べます。またルゴール液を散布することで早期癌を発見することができます。

●胸部・腹部CT検査
食道癌の他臓器への浸潤や肺、肝臓、リンパ節への転移を調べることができます。

●超音波内視鏡
内視鏡の先端に超音波の装置がついており、食道癌の深達度やリンパ節転移を調べることができます。

●PET検査
食道癌の全身への転移の有無を調べることができます。

手術方法

●内視鏡的粘膜切除術・内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ステージ0の症例に対して)
胃カメラを用いて癌部の粘膜と粘膜下層をその周囲の正常粘膜を含めて切除する方法。
最近では大きな病巣も全身麻酔下に安全に切除できます。

●胸腔鏡・腹腔鏡手術(T1~T2の症例に対して)
腫瘍の大きさが比較的小さい症例に対しては胸を大きく切開することなく、胸腔鏡を用いて食道切除を施行しています。また2010年からはロボット(da Vinci)を用いたロボット支援手術を開始し、良好な成績を治めています。

●開胸手術(T3の症例に対して)
胸部を約16~18cm切開して食道切除を施行します。次に腹部を開いて胃を管状に形成して持ち上げ、頸部食道とつなぎ合わせる最も一般的な治療方法です。

■手術のリスク
術死(手術後1ヵ月以内の死亡)
 全国平均 約1.0%  当院 0.4%(2000-2009年)
在院死(手術後退院できず院内で死亡)
 全国平均 約3.0%  当院 約2.1%(2000-2009年)

薬物療法(化学治療、放射線)

 放射線療法と化学療法(抗がん剤5FUとCDDPを使用)を同時に進めていく方法です。手術と同等の治療成績という報告もあり、最近は注目を集めています。また術前に行うことで病変部を小さく切除しやすくして、手術後の再発を抑える効果も期待できます。
高度進行食道癌(ステージ4)に対しては化学療法を3剤(CDDP、5FU、DTX)とした強力な化学放射線療法を治験にて行い、良好な成績を治めています。

■リハビリとQOL

 手術後はリハビリ科と連携して呼吸訓練および歩行訓練などを行っています。これにより術後早期の離床が可能となり、また肺炎などの術後合併症の予防にも効果をあげています。
退院前には栄養科による食事指導を行い、退院後の食生活への不安を解消します。

治療実績

 食道癌の年間切除症例(内視鏡的切除を含む)は約50~60例で、非切除症例(化学放射線療法など)は約20例前後です。

● 早期癌(ステージ0)
内視鏡的粘膜切除術・内視鏡的粘膜下層切開剥離術を行います。病変範囲の広い症例でも積極的に全身麻酔下に手術室にて内視鏡的粘膜下層切開剥離術を行い良好な成績を治めています。

●T1~T2症例
胸部を大きく切開することなく、胸腔鏡・腹腔鏡を用いて食道切除・再建術を施行しています。また2010年からはロボット(da Vinci)を用いたロボット支援手術を開始し、良好な成績を治めています。

● T3症例
術前化学放射線療法を施行し、その後に手術を施行しています。これにより、切除率を高めるとともに、リンパ節再発などを抑制することにより予後の改善を認めています。
現在、患者様の血液(タンパク)を用いたプロテオーム解析により、化学放射線療法の効果を予測する研究を国立がんセンター研究所とともに進めています。将来的には化学放射線療法が有効と思われる患者様にのみ治療を行うことが可能となるかもしれません。

● 超進行食道癌(ステージ4)
DCO+CDDP+5-FUを併用した化学放射線療法を行い、良好な成績を治めております。また切除不能症例に対しては、食事摂取等QOLの改善を目的としたバイパス手術や食道ステント挿入術も行っています。

切除例の5年生存率(2000~2009年)(手術死0.4%、在院死2.1%)
 ステージ 0  97.4%
 ステージ I  87.0%
 ステージII  50.6%
 ステージIII 39.9%
 ステージIV 18.5%

お問い合わせ

東京医科大学 消化器・小児外科学分野(消化器外科・小児外科)
電話 : 03-3342-6111(代表)
メールアドレス : geka-3@tokyo-med.ac.jp