ロボット支援下胆道拡張手術
専門領域のご案内
グループ紹介はこちら
当科における取り組みはこちら
先天性胆道拡張症と膵・胆管合流異常
膵・胆管合流異常とは?
胆汁が流れる胆管と膵液が流れる膵管は、共通管を形成し1本の管となり十二指腸に交通して、消化管内に胆汁と膵液が排液されます。この共通管は、括約筋(Oddiの括約筋と呼ばれます)で普段は締め付けられており、食事の際に括約筋が弛み、胆汁と膵液が十二指腸へ流れるようになっております(図1)。膵・胆道合流異常とは、括約筋のないところで胆管と膵管が合流する生まれつき(先天性)の異常です(図2)。そして胆管の拡張を伴うものは先天性胆道拡張症と呼ばれています(図3)。括約筋が合流部にないため、膵液が胆道内に逆流し、胆道がんが発生するリスクがあります。
先天性胆道拡張症とは?
膵・胆道合流異常に伴い、胆管が著明に拡張している状態を先天性胆道拡張症といいます。将来的にがんの発生率が高いため、胆管を切除し腸につなげる手術(先天性胆道拡張手術)が行われます。この手術では胆管に狭い部分を残しておくと将来的に胆管炎や肝内結石、場合によりがんの発生が起こる場合があります。そのため手術前に狭窄がないかよく調べたうえ手術を行うことが必要です。当院では、的確な手術行うため、Synapse Vincentという画像解析ソフトをもちいて、バーチャル胆道内視鏡や立体的画像を作成し、術前シミュレーションのもと手術を行っております。
腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術
開腹手術にて手術を行う場合は大きな創を必要とするため術後の痛みが強く、術後の回復に影響を与えてきました。一方で、創の小さい内視鏡外科手術は術後の痛みが少なく早期回復が期待でき、様々な消化器外科手術で普及しております。先天性胆道拡張症では高度な技術を要するため、まだ広くは普及しておりません。当院では小児外科や肝胆膵外科に加え内視鏡外科手術に熟練したエキスパートによって構成された手術チームによって、本手術を行っております。
ロボット支援下先天性胆道拡張症手術
ロボット支援下手術で使用されるダビンチサージカルシステムは、3D画像、手ぶれ防止機能、多関節機能など内視鏡外科手術をやりやすくするために開発されました。このシステムは再建で行われる縫合操作に極めて有用であり、先天性胆道拡張症手術においても精度の高い再建を可能にしました。現時点では膵・胆管合流異常に伴う先天性胆道拡張症に対して全国に先駆け東京医科大学病院倫理審査委員会承認のもと病院費を用い、ロボット支援下先天性胆道拡張症手術を行っておりました。2022年より保険収載されたため、現在保険を用いてロボット手術を行っており、全国より患者さんが来院されております。
お問い合わせ
東京医科大学 消化器・小児外科学分野(消化器外科・小児外科)
成人: 教授 永川裕一
小児: 准教授 林豊
電話 : 03-3342-6111(代表)
メールアドレス:
(患者さんの診断・治療方法に関するご質問は、当院での診察もしくはセカンドオピニオン外来にてお答えいたします)