腹腔鏡下・ロボット支援下膵切除術|トピックス

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安新型コロナウィルスによる肝胆膵外科グループの対応

 新型コロナウィルス(COVID-19)による医療機関の対応により、患者さんの治療や手術に極力影響しないよう、ベストの治療方針をチームカンファランスにて迅速に検討し、がん患者さんの手術日程が遅れることのないよう当院にて手術を行うほか、われわれのスタッフを派遣し高度な治療や手術を関連病院でも行うなど、様々な対応をいたしております。また患者さんやご家族のご心配をなるべく取り除くべく、可能な限りメールでの対応もいたしております。

熟練したエキスパートによって行う内視鏡外科膵手術

 開腹手術にて手術を行う場合は大きな創を必要とするため術後の痛みが強く、術後の回復に影響を与えてきました。一方で、創の小さい内視鏡外科手術(腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術)は術後の痛みが少なく早期回復が期待でき、様々な消化器外科手術で普及しております。膵臓の手術では、膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵腫瘍核出術において内視鏡外科手術が保険収載され、一部の施設で行われるようになってきています。しかし高度な技術を要するため、まだ広くは普及しておりません。当院では肝胆膵外科手術および内視鏡外科手術の熟練したエキスパートにより本手術を行っております。当院における腹腔鏡下膵切除術(腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術、腹腔鏡下膵体尾部切除術)は日本トップクラスの技術と手術件数を誇っており、内視鏡外科膵切除術の安全な普及に向けた技術指導も行っております。

腹腔鏡下・ロボット支援下膵頭十二指腸切除術

 膵頭十二指腸切除術は膵頭部に存在する腫瘍に対して行われる大きな手術の一つです。この術式に対する内視鏡外科手術は、2016年より郭清の必要ない腫瘍に対し腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術が保険収載され、2020年には郭清を必要とする悪性腫瘍も含めた腫瘍に対し、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術やロボット支援下膵頭十二指腸切除術が保険収載されました。本術式は体に優しい手術として期待されていますが、高度な技術を必要とするため、日本では厳選された一部の施設でのみ本手術の施行が認められております。当院では保険収載前より倫理委員会の承認のもと長年、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術・ロボット支援下膵頭十二指腸切除術を行ってきました。現在、全国で最も多くのこの手術を行っております。
 一方で、従来の開腹術の方がより確実に手術を行える疾患があります.内視鏡外科手術の適応はチームカンファランスにて、疾患や患者さんの状態などから、患者さんに対し有用と判断される場合に、本術式を行っております。

腹腔鏡下膵頭十二指腸切除とロボット支援下膵頭十二指腸切除術
 膵頭十二指腸切除術は、切除(膵頭部、胆管の一部、十二指腸、小腸の一部の切除やリンパ節郭清)だけでなく、切離した後に再建(膵臓-空腸吻合、胆管-空腸吻合、十二指腸-空腸吻合)が必要になります。
 内視鏡外科手術では止血しながら切離を可能とする手術器機(エネルギーデバイス)が必要不可欠です。膵頭部の周囲には大切な血管が多く切除する上で極めて繊細な手術操作を必要とします.腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術ではより精密なエネルギーデバイスによって、切除が行われております。
 ロボット支援下手術で使用されるダビンチサージカルシステムは、3D画像、手ぶれ防止機能、多関節機能など内視鏡外科手術をやりやすくするために開発されました。このシステムは再建で行われる縫合操作に極めて有用であり、膵頭十二指腸切除術においても精度の高い再建を可能にしました。
 当院ではそれぞれの手術の特性と生かすべく、すべてを腹腔鏡下手術で行う完全腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術)、すべてをロボット支援下手術で行う完全ロボット支援下下膵頭十二指腸切除術)もしくは、切除は腹腔鏡下手術にて行い、再建のみをロボット支援下手術で行うハイブリッド手術の3つに分け、患者さんの疾患や状態から適切な手術方法を選択し内視鏡外科手術を行っております。

【腹腔鏡下・ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の適応疾患】

 膵良性腫瘍・低悪性度膵腫瘍(多くのケースが適応となります)
 1.膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
 2.粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)
 3.膵神経内分泌腫瘍 (pNEN)
 4. Solid-pseudopapillary neoplasm (SPN)など

 十二指腸腫瘍(高度進行癌は適応外となります)
 1.十二指腸乳頭部腺腫
 2.十二指腸乳頭部癌
 3. 十二指腸癌
 4. 十二指腸Gastrointestinal Stromal Tumor (GIST) など

 胆道癌(高度進行癌は適応外となります)
 1.遠位胆管癌

 膵頭部癌(開腹術で行われることが多く、適応は一部に限られます)
 1.切除可能膵頭部癌(血管浸潤例除く)

腹腔鏡下膵体尾部切除術

 腹腔鏡下膵体尾部切除術はおなかを開ける開腹手術と比較し、術後の痛みが少なく回復が早いのに加え、出血量や術後の合併症が開腹手術より少ないのが特徴です。術後入院期間は合併症(膵液瘻)がなければ約10日程度です。当院で開発された手術方法(Straightened splenic vessels method;脾動静脈直線化)によって、手術時間は大幅に短縮しております(2-4時間)。(Dig Surg.;34:289-297. 2017)

膵癌における腹腔鏡下膵体尾部切除術
膵体尾部に存在する膵臓癌(すい臓癌)に対して、リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下膵体尾部切除術を行っております。膵癌の克服には、癌を取り残さない根治性の高い手術に加え、手術後の抗がん剤投与(術後補助化学療法)が必要不可欠です。腹腔鏡下膵体尾部切除術は体の負担が、開腹術に比べ極めて少ないため、術後早期に術後化学療法の開始が期待できます。また内視鏡外科手術で得られる拡大視効果(大きく拡大されたモニターを見ながら繊細に手術を行うによって高い根治性と出血の少ない手術を行っております。

【腹腔鏡下膵体部切除の適応疾患】

 膵良性腫瘍・低悪性度膵腫瘍(多くのケースが適応となります)
 1.膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
 2.粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)
 3.膵神経内分泌腫瘍(pNEN)
 4. Solid-pseudopapillary neoplasm (SPN)など

 膵体尾部癌(一部の高度進行癌は適応外となります)
 1.切除可能膵体尾部癌(血管浸潤、多臓器浸潤例除く)

ロボット支援下膵中央切除術

 膵中央切除術は膵体尾部に存在する良性もしくは悪性度の低い腫瘍に対して、膵臓の機能を温存するために、膵臓の真ん中の一部のみを摘出する手術です。尾側の膵臓は再建(膵臓と小腸を縫合)が必要です。本手術においても内視鏡外科手術の有用性が期待されますが、現時点では保険収載されていません。当院では、東京医科大学病院倫理審査委員会承認のもと病院費を用い適応のある患者さんに対しロボット支援下膵中央切除術を行っております。

【ロボット支援下膵中央切除術の適応疾患】

 膵良性腫瘍・低悪性度膵腫瘍(適応は腫瘍の位置や大きさにより決定されます)
 1.膵神経内分泌腫瘍(pNEN)
 2.Solid-pseudopapillary neoplasm (SPN)など

お問い合わせ

東東京医科大学 消化器・小児外科学分野
准教授 永川裕一
電話 : 03-3342-6111(代表)
メールアドレス : naga@tokyo-med.ac.jp
(患者さんの診断・治療方法に関するご質問は、当院での診察もしくはセカンドオピニオン外来にてお答えいたします)