ロボット支援下大腸切除術|トピックス

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ロボット支援下大腸手術について

 現在当院では手術支援ロボットとして最新機種のダヴィンチXi(da Vinci Surgical System)が2台稼働しております。
 1990年代に米国で開発され、1999年よりIntuitive Surgical社から臨床用機器として販売されています。日本では、2006年に当院が初めて導入しました。1~2cmの小さな創より内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、より高度な内視鏡手術を可能にします。術者は術野から離れた場所にあるサージョンコンソールにて、3Dモニター画面を見ながらあたかも術野に手を入れているようにロボットアームを操作して手術を行います。
 現在の大腸外科分野では、「ダヴィンチ」を用いた手術は直腸がんが平成30年4月より日本国内でも保険適応対象となりました。直腸がん手術は、骨盤に囲まれた狭い場所にあり、周囲には膀胱・前立腺・子宮などの重要な臓器と、排尿や性機能を司る自立神経が集まっているため、大腸がんの中でも特に難しい手術とされています。
 また2022年9月より国内でも少数の施設のみで行われているロボット支援下結腸手術をいち早く導入しました。ロボットによる安定した術野展開により精緻な剥離層を見極め、病変切除後に体腔内吻合を行うことで低侵襲性が高まり患者さんのからだの負担軽減につながります。

ロボット支援下手術のメリット

1.きず口が小さい
手術に必要なのは、0.5~1.5cmほどの小さな穴で、最大6~7か所です。切除部位を取り出すために、そのうちの1か所だけ4cm程度に広げることがあります。

2.手術中の出血量が少ない
「ダヴィンチ」の動きは精緻で、止血も効果的にできるため、輸血が行われた例は少数です。

3.術後の疼痛が少ない
くず口が小さいため、痛みを軽減できます。

4.回復が早い
体への負担が少ない分、術後の回復が早く早期の社会復帰が望めます。

5.術後の合併症のリスクが低い
「ダヴィンチ」の鉗子の動きは柔軟で、緻密で正確です。病変部に的確にアプローチできるため、組織の損傷や合併症を抑えられます。

ロボット支援下手術で期待できること

1.術野が立体的で広く、鮮明
立体的な3Dモニターで、術野を10倍に拡大して見られるため、細部の手技が正確に行えます。執刀医自身が患者さんの体内に入って手術をしているようだと言われるほど、視界が良好です。

2.人の指先以上の動きを実現
「ダヴィンチ」の鉗子は、手首以上の可動域と、柔軟でブレない確かさを持ち、指先に勝る細かな動きを可能にしています。

3.手術中の執刀医の負担を軽減
手ブレ防止機能や、座って手術が行えることで、執刀医の負担を軽減。長時間、高い集中力を必用とする手術の正確性を高めます。

ロボット支援下直腸手術のメリット

1.体の深部へのアプローチ
体に開けた小さな穴を支点にする腹腔鏡手術では、深部に進むほど動き幅が大きくなり、ブレやすく、また、先端角度が一方向のみのため、操作に制限がありました。「ダヴィンチ」はロボット独自の手ブレ防止機能や、手首以上の可動域を持つ鉗子によって、深部での処置もより正確に行えます。

2.直腸を覆う膜の切除
直腸は何重にもなる膜に覆われた臓器です。切除の際、どの層(膜と膜の間)を直腸から剥がすかで神経損傷のリスクが変わります。「ダヴィンチ」の鮮明な術野と繊細に動く鉗子なら、選択した層を的確に剥がすことが可能です。

3.術後のリスクを軽減
直腸がん手術に求められるのは、高い根治性と、術後の機能障害などのリスク発生の軽減です。「ダヴィンチ」は手術の安全性・正確性を高めることで、その実現を、目指した手術支援ロボットなのです。

ロボット支援下結腸手術のメリット

1.体腔内吻合
従来、腸管を体腔外に引き出し再建していましたがロボットの多関節機能と安定した縫合操作により体腔内で吻合することが可能となりました。体腔内吻合により術後の腸管機能回復と創長縮小により低侵襲を実現しています。

2.3D visionによる立体的術野
超高画質の手術用3次元カメラを使用することで細かい血管解剖や神経の走行を見極め精緻な手術操作が可能となります。

3.広範囲剥離に有利
当科で使用しているダヴィンチXi(da Vinci Surgical System)は旧機種よりもコンパクトなロボットアームを使用することで広範囲剥離の必要な結腸手術でアーム同士の干渉が少なくスムースに手術工程を行なうことが可能です。

ロボット支援下大腸切除の割合は増加傾向です

お問い合わせ

東京医科大学 消化器・小児外科学分野(消化器外科・小児外科)
電話 : 03-3342-6111(代表)