東京医科大学 消化器・小児外科学分野

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胆道癌の治療

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胆道癌について

基礎知識

 肝臓で作られた胆汁という消化液の通り道である、総胆管や胆嚢などのことを総称して胆道と言います。胆嚢がん・胆管がん・十二指腸乳頭部がんなどの胆道にできる悪性の腫瘍(がん)のほか、胆嚢や総胆管に石ができてしまう胆道結石症や総胆管の拡張する胆管拡張症などのさまざまな病気があります。胆道がんは胆道に発生するがんであり、胆管がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん)、胆嚢がん、乳頭部がんに分類されます。日本での胆道がんの死亡率は、年々増加しております。胆道がんの診断には、高い技術を要する検査があります。治療方針を決定する上で重要であり、専門医の元で検査をすることをお勧めします。

 当科では消化器内科,放射線科と密接な連携のもと最新の医療器機、医療技術にて高度な検査を行っております。

以下の検査が行われます。
 腹部超音波
 腹部CT、MRI
 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)
 経皮的胆道造影(PTC)
 超音波内視鏡検査法(EUS)
 管腔内超音波検査法(IDUS)
 経口的胆道鏡(POCS)

必要に応じてこれらの検査を組み合わせて行い、病状に応じた治療方針を決定します。

進行度とステージ

 胆道癌の拡がり方には、他の癌と同様に浸潤、転移、播種の3つがあります。こうしたがんの広がり方と程度から各病期(進行度)に分類され、治療方針が決まります。

 門部領域胆管がん、遠位胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がんでそれぞれ腫瘍の広がり、リンパ節転移、遠隔転移の有無でステージが決まります。

肝門部領域胆管がん
局所進行度(T) リンパ節転移 遠隔転移
なし 1から3個 4個以上 あり
T is(非浸潤癌) 0 ⅢC ⅣA ⅣB
T 1(胆管壁の浸潤) ⅢC ⅣA ⅣB
T 2a(胆管壁を超える) ⅢC ⅣA ⅣB
T 2b(肝実質浸潤) ⅢC ⅣA ⅣB
T 3(一部門脈、動脈へ浸潤) ⅢA ⅢC ⅣA ⅣB
T 4(門脈、左右動脈への浸潤) ⅢB ⅢC ⅣA ⅣB
遠位胆管癌
局所進行度(T) リンパ節転移 遠隔転移
なし 1から3個 4個以上 あり
T is(非浸潤癌) 0
T 1(5㎜未満の浸潤) ⅡA ⅢA
T 2(5-12㎜の浸潤)) ⅡA ⅡB ⅢA
T 3(12㎜を超える浸潤) ⅡB ⅡB ⅢA
T 4(門脈本や動脈への浸潤) ⅢB ⅢB ⅢB
胆嚢癌
局所進行度(T) リンパ節転移 遠隔転移
なし 1から3個 4個以上 あり
T is(非浸潤癌) 0 ⅢB ⅣB ⅣB
T 1a(粘膜層) ⅠA ⅢB ⅣB ⅣB
T 1b(固有筋層) ⅠB ⅢB ⅣB ⅣB
T 2a(腹腔側粘膜下層) ⅡA ⅢB ⅣB ⅣB
T 2b(肝側粘膜下層) ⅡB ⅢB ⅣB ⅣB
T 3(漿膜浸潤) ⅢA ⅢB ⅣB ⅣB
T 4(2か所以上の多臓器浸潤) ⅣA ⅣA ⅣB ⅣB
乳頭部癌
局所進行度(T) リンパ節転移 遠隔転移
なし 1から3個 4個以上 あり
T is(非浸潤癌) 0 ⅢA ⅢB
T 1a(乳頭部粘膜、Oddi活約筋層) T1a ⅢA ⅢB
T 1b(十二指腸粘膜下層、Oddi筋を超える) ⅠB ⅢA ⅢB
T 2(十二指腸固有筋層浸潤) ⅠB ⅢA ⅢB
T 3a(5㎜以内の膵浸潤) ⅡA ⅢA ⅢB
T 3b(5㎜を超えた膵、十二指腸漿膜浸潤) ⅡB ⅢA ⅢB
T 4(門脈本や動脈への浸潤) ⅢB ⅢB ⅢB
手術方法

 胆道がんの根治的治療には手術が必要です。手術方法は、腫瘍の部位により選択されます。肝臓の近くにできたがんには、肝臓も含めた広範囲な拡大左葉切除や3区域切除などが必要となります。逆に十二指腸側である場合は、膵臓の切除を含めた膵頭十二指腸術が必要となります。難易度の高い手術ですが、根治手術により長期生存が得られる可能性があり、積極的な手術を行っております。
 当科では安全でかつ根治性の高い胆管がんの手術を行うため、画像解析装置を用いて、手術前に肝臓の立体的な画像化および正確な予定残存肝容量の計算し、術前シミュレーション(画像支援ナビゲーション)のもと手術を行っております。
 術後に肝臓の容量が足りなくなると肝不全という重篤な合併症を起こしてしまいます。術前より肝機能と残肝量を推定することで術後の肝不全の予防を行っております。

乳頭部癌
拡大葉切除術

化学療法など

 病状によっては内服薬・注射薬などの抗がん剤を使用した治療を行います。副作用が出現することもありますので、注意深く経過を診ながら行います。この他、痛みなどの症状に対し、放射線療法を行うことがあります。

GS (ゲムシタビン+ティーエスワン)療法

 1および8日目にゲムシタビンの点滴を行い1?14日間はティーエスワンを1日2回服用する治療法です。

GC (ゲムシタビン+シスプラチン)療法

 1および8日目にゲムシタビンとシスプラチンの点滴を行います。シスプラチンは腎臓を傷害する可能性があり多めの点滴を行います。

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