食道がんに対する取り組み|トピックス

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東京医科大学病院での食道がんに対する取り組み

 食道がんの治療方法は患者様の年齢、体力、がんの進行度や人生観などにより様々です。当科では食道がんに対して、内視鏡的治療から手術、化学放射線療法、ステント挿入まですべての治療を消化器内科、放射線治療部と連携をとりながら行っています。各治療法に最先端の技術・手法を導入(臨床治験を含む)しながら、患者様と十分なインフォームドコンセント(I.C)を行い、一人一人に最も適した治療法を納得していただいた上で行っています。

早期がんに対する全身麻酔下内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)

 早期がん(stage0)とは病巣が粘膜内にとどまる状態です。このような症例に対しては外科的手術ではなく内視鏡的粘膜下層切開剥離術を行っています。この方法は色々な器具を駆使してがん病巣を内視鏡的に切開・剥離して切除する方法です。これにより従来、手術を行っていたような病変範囲の広い症例でも手術室にて全身麻酔下に切除できるようになり、患者様のQOLに寄与しています。現在、毎年30例前後の症例を内視鏡的に切除しており、この症例数は全国的にも有数です。さらに我々は消化器内科の先生たちと協力し、検討しながらこの手技を行っており、つねに新しい技術・手技を導入できるように努めています。

   

ロボット(da Vinci)支援手術の導入(T1~T2症例に対して)

 食道がんの標準的手術は頸部・胸部・腹部の3領域の手術操作が必要となり、特に胸部では約20cm皮膚切開して手術操作を行います。そのため他の手術と比べ患者様の負担が大きく術後合併症も少なくありません。近年、胸腔鏡や腹腔鏡を用いた鏡視下手術が発達し、これにより創が小さく低侵襲で回復が早い手術が可能となりました。しかしながら画像が二次元であり立体的な感覚がつかみにくいことや鉗子の動きに制限があり縫合などの操作が難しいなどの問題がありました。「ロボット支援下手術」は、"da Vinci サージカルシステム;ダヴィンチ"という手術ロボットを使用することで、三次元画像を見ながら、自由度の高い鉗子を用いることで微細な操作を行うことができ、開胸・開腹手術の感覚に近い手術操作が可能となります。米国ではこの"da Vinci サージカルシステム"を使用した手術が急速に普及しております。我々はこのロボットを使用した手術を食道がんに対して2010年6月から導入しました。現在(2010年12月)までに10例に行っており、術中出血量の減少や患者様の術後QOLの改善などの良好な結果を得ております。

  

集学的治療(T3症例に対して)

 進行食道がんは早い時期にリンパ節や他臓器(肺や肝臓など)に転移することが多く、手術療法だけでは予後の向上は難しいと考えられています。近年、更なる治療戦略として化学放射線療法(chemoradiotherapy:CRT)を用いた集学的治療が注目を集めています。その理論的根拠は化学療法が有する放射線増感効果により放射線治療の局所制御効果を高め、さらに化学療法により微小転移巣をコントロールし、遠隔成績の向上を期待するという考えです。我々は1998年からこのCRTを用いた集学的治療を導入して良好な成績を治めています。さらに患者様の血液(タンパク)を用いたプロテオーム解析により化学放射線療法の効果を予測する研究を国立がんセンター研究所とともにすすめており、将来的には化学放射線療法が有効と思われる患者様にのみ治療を行うことが可能となるかもしれません。

切除不能症例に対する治療

 現在、切除不能症例に対する標準的治療は抗がん剤2種類(CDDP+5FU)による化学放射線療法ですが、なかなか良好な治療効果を得ることがでないのが現状です。そこで我々は超進行食道がん(T4症例、遠隔リンパ節や他臓器への転移症例)に対しては臨床治験としてDTXを加えた3剤併用(DTX+CDDP+5-FU)の化学放射線療法を2007年から導入し、奏効率の上昇や予後の改善などの良好な成績を治めております。また食事摂取ができない患者様に対しては積極的に食道ステント挿入術を行うことにより食事ができるようになるよう努力しています。

  

お問い合わせ

東京医科大学 消化器・小児外科学分野(消化器外科・小児外科)
電話 : 03-3342-6111(代表)
メールアドレス : geka-3@tokyo-med.ac.jp