国際学会紀行

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国際学会留学記

ARVO 体験記 -in Hawaii-

國見(旧姓藤井)敬子

 今年で入局4年目になりますが、初めて海外での学会発表に参加させていただきました。今回の発表は、2000年から2008年と2011年から2018年に当院のぶどう膜炎外来を初診となった患者さんの統計で、疾患の内訳とその比較をまとめさせていただきました。約3000人分のカルテを集計するのは途方もない作業でしたが、それも全く忘れてしまうくらい、大変有意義な学会発表となりました。
 旅行でしかいったことのないハワイに10年ぶりに上陸しましたが、リゾートの雰囲気の中で各国の眼科医の先生方が会場に向かう姿は少し滑稽でありました。しかし、会場につくと、ポスターに向ける表情は真剣そのもので、活気あるディスカッションが様々なところで行われていました。
 臨床で自分が専門としているぶどう膜炎、神経眼科、斜視弱視を中心に連日ポスターを拝見させていただきました。ちょっと調子にのってプレゼンターに話かけてみたりもしましたが、知識と語彙力がなく、簡単な会話で終わってしまったのは悔しい限りでしたが、非常に勉強になりました。特に自分の発表であるぶどう膜炎の統計についてのポスターは特に印象的で、地域性のある疾患のため、国によって統計も治療法も違い、ディスカッションも弾みました。自分の発表ですが、様々な質問とお褒めの言葉を国内外からいただきました。また、他国と日本との相違点についてもご教授いただいたりと、大変勉強になりました。自分の発表がだれかのなにかの役にたっているのかなと少し実感できた気がし、次の発表への良いモチベーションとなりました。このような機会を与えてくださった諸先生方、ならびにご指導ご鞭撻いただいた先生方へ感謝しつつ、わたくしのARVO体験記とさせていただきます。ありがとうございました。Mahalo!

ARVO 体験記

小川 麻里奈

 2017 年5月、ARVO がアメリカ・ボルチモアで開催され、参加の機会を いただきました。今年4月よりの大学院入学に先立ち、臼井先生が進めておられた研究に参加させていただき、今回はその成果である次世代シークエンサーによるIgG4 関連眼疾患の遺伝子解析から同定した遺伝子変異について発表致しました。また、入局して一年余の初の国際学会発表でしたが、光栄にもARVO Travel Grant 受賞、MIT Poster Award Competition の参加資格を頂くことができました。
 ボルチモアはアメリカ東海岸に位置し、ジョンズ・ホプキンス大学等複数の大学機関を有するにも関わらず、国内屈指の治安の悪い都市として有名で、その為今回の宿泊は治安の良い郊外のコンドミニアムに全員で滞在しました。
 Poster session では、当日朝ポスターの横で待機していると、かの有名なDr.Shields が偶然通りかかられ、私のポスターの前で集合写真をご一緒に撮ることができ、大変感激しました!
 Poster Award Competition は、本人のみの参加でお助け無しと決められており、3 人のジャッジが別々に訪れ、ショートプレゼンと質疑応答、さらに見学者からの質問も受けるといった形式でした。プレゼンもさることながら、鋭い突っ込んだ質問に悪戦苦闘し、まさに孤軍奮闘の長い1 時間半でしたが、合間に他の参加者と沢山交流もでき充実した時間でもありました。自分の未熟さ、世界の壁の高さを痛感すると同時に、世界各国で我々と同じ様に皆日々診療、研究に励んでいる事に深い共感も覚えました。アワード受賞は成し得ませんでしたが、若干の達成感に浸りながら、ちょっと?スピードを出し夕陽の中、1 人ドライブで帰路に就いた事は忘れ得ない思い出になると思います。

 期間中はコンドミニアムならではのリラックスした滞在となり、馬詰先生や塚原先生が作って下さった美味しいお食事を只管頂いたり、他大学の先生とのお食事会やD.C. 観光もでき、楽しい一時を過ごすことができました。ボルチモアの治安の悪さ にも関わらず、B 先生のパスポート紛失事件も帰国前日大捜索の末に解決し、全員が無事に帰国の途に就くことができました。
 この素晴らしい経験を礎の一つと成し、グローバルな視点を持ち続けて行きたいと真に思いました。来年はホノルルでの開催、又このARVO に戻って来られる様、更なる研鑽を積んでいきたく思います。
 日頃からご指導いただいています先生方、この様な機会を与えて頂き心より感謝申し上げます。有難うございました。

2017 年 国際眼腫瘍学会 参加記(3/24-3/28)

根本 怜

 International Society of Ocular Oncology( ISOO)がオーストラリアのシドニーで開催されました。後藤教授、臼井講師、馬詰講師、私の4 名で参加致しました。シドニー滞在中、昼間は日差しがあるとT シャツでも過ごせる気温になりますが、夜はまだ肌寒い時期でした。
 私は、"Immunophenotypic profiles of inflammatory cells in chalazion andpyogenic granuloma." についてポスター発表しました。
 学会会場は、日本の腫瘍学会でもお見かけする先生方が顔を揃えておられました。そして何より会場を見渡して気づいたことに、女性参加者が多く、特に網膜芽細胞腫に関わる先生方が多いのかな、といった印象がありました。
 次回の学会開催地の美女医がインスタグラムに# WOC(woman in ocular oncology)として自撮り写真を早速アップしてることを発見したり、論文をガシガシだしてしまうバリキャリのCarol L. Shields 先生を間近に確認することができました。
 さて、いよいよセッションが始まると各国での診断や治療について意見交換が活発に行われていきます。衝撃的であった一コマには、ある国でメラノサイト―マ症例に対して両眼とも眼摘が行われ、会場中が『Ohhhhh...! Nooooouuuuu...』となった瞬間があり、とても印象に残りました。

 また、カンファレンスディナーにも参加しました。シドニーのeyehospital 敷地内の屋外にテントが張られ、ディナー会場が準備されていました。まずカクテルタイムでスパークリングワインを片手に、ディナーの時間までおしゃべりしながら過ごし、その後は紫色にライトアップされたテーブル席へと移動しました。海外から参加されている先生方や日本からも参加されている先生方とテーブルを囲んでの食事は大変貴重な時間となりました。
 学会最後には、次回の開催地の候補者たちが次々にプレゼンをして、ここぞとばかりにアピールしてきます。会場にいる私たちの投票により場所が決定されます。いずれも素敵な開催地ばかりで悩みましたが、次回も参加するつもりで投票してきました。面白い企画です。
 国際眼腫瘍学会への参加は今回初めてでしたが、期待以上にとても刺激的な学会でした。ますます『腫瘍』に興味が湧くと同時に、診断や治療基準の変化への対応や、時に生命に関わる分野であり緊張感を持って日常の診療に取り組まなければならないと実感しました。
 この学会への参加機会を与えていただいた後藤教授、臼井講師には心より感謝致します。
 世路誌が発行される頃には、今回学会で発表した内容についての原著が少しでも進んでいますように。

2017 IOIS 体験記(10/18 − 21)

松島 亮介

  今年のIOIS はスイスのローザンヌで開催されました。私は「感染性ぶどう膜炎における眼内液中のIL-10の解析」の発表で参加させていただきました。
 本来であれば、学年が一番下の私が航空券やホテルの予約をしなければいけませんが、坪田先生や馬詰朗比古先生が全ての予約をしてくれました。飛行機の座席は男三人横並び、通路を挟んで沼田先生もいらっしゃいました。もちろん学年が最も下なのに何の準備もしなかった僕は懲罰的に真ん中席。通路側の希望は即却下。東医らしさ満点です。そんなこんなでスイスのジュネーブ国際空港に着き、さらに鉄道で移動し、ローザンヌへ。結局、夜の11 時ごろにホテルに着き、翌日の学会に備えました。学会が本格的に始まるのは午後でしたが、午前からぶどう膜炎の勉強会に参加しました。そこで、東医卒の慶野先生にもお会いしました。内容はもちろん英語なので、理解できたのは僅かでしたが、とても貴重な経験でした。2 日目以降もしっかりと学会には参加しつつ、観光も怠りませんでした。3 日目には後藤教授が座長で、臼井嘉彦先生の口頭発表がありました。原稿もなく、スラスラと英語で話している姿は本当に格好良く見えました。また、臼井理事長や坂井先生には夕食をご馳走になり、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
 しかし、事件が起きたのは最終日前日の夜...。各国の眼科医が参加するパーティーが終わった直後の午後11時...。ふと、朗比古先生が携帯に目をやりました。表情が固まっています。
 覗いてみると、携帯の画面には英語で
「明日の航空機の予約はキャンセルされました。」
嘘だ...。嘘だと言ってくれ...。

 ホテルに戻り、現地や日本の航空会社に連絡をしましたが、既に深夜なので繋がらず。数時間待ってから、再度電話するも、代わりの便は全て満席とのこと。お手上げです。私は、予定通りの時間で帰ることを諦め、どこを観光しようか考えていましたが、諸先輩方は諦めません。とりあえず、深夜2 時にホテルを出発し、空港へ。道中、諦めずに帰り方を調べていると、奇跡的に4席の空席を発見。瞬時に予約し、朝4時過ぎから空港で数時間並び、ようやくチケットをゲット。その後はロンドンを経由し、日本に予定通りの時間に到着しました。これで今回の学会は終了です。
 ちなみに、突然のキャンセル後に電話したのも、チケットを探して予約したのも、あたかも自分がやったかのように書いていますが、とんでもありません。
 全て、朗比古先生と坪田先生が手配し、私は隣で携帯ゲームをしていました。一人だったら、今頃スイスでホームレスになっていたことでしょう。
 本当に諸先輩方にはお世話になりました。また、学会に参加させていただく機会頂いた、後藤教授と臼井嘉彦先生にはこの場を借りて感謝申し上げます。

2016 ARVO

馬場 良

2016 ARVO

 2016年5月1日から5日にかけてシアトルで開催されたARVOに参加させていただきました。私は、「黄斑円孔網膜剥離に対する inverted ILM flap technique を用いた硝子体手術の治療成績」についてのポスター発表を行いました。 私にとって初めての国際学会であり、語学力に対する不安と、まだ経験したことのない国際学会で自分自身が何を得られるのかという期待を抱きながらの参加となりました。私はアメリカサイズですので、大変恐縮ですがビジネスクラスで行かせて頂きました。成松先生すいません。
 私のポスターの発表日は初日でした。英語での質問に対して語学力にかなりの不安がある私は、果たして答えることができるのだろうかととても緊張して臨みました。そんな私の不安な様子をみるにみかねた馬詰先生が絶えず助け舟をだして下さいました。東京医大の先生方が海外の先生と流暢にディスカッションされている姿は英語習得に対する大きなモチベーションとなりました。
初めて訪れたシアトルはとてもすごしやすい気候で、海と山と湖に囲まれた街でした。ダウンタウンから海沿いに向かって歩くと、パイクプレイスマーケットがあり新鮮なシーフードが所狭しと並んでいました。スターバックスの1号店もこの並びにあり、その周辺は大変な人でした。郊外のワシントン大学はとても広大な敷地の中にあり、その規模の大きさにはただただ圧倒されるばかりでした。
また、新鮮なシーフード、美味しいワインなど期間中は美味し食べ物をたくさん食べさせていただきました。中でも塚原先生に連れて行っていただいたステーキハウスは絶品で、日本でもこんなステーキが食べられたらなぁと感じるほどでした。
 学会を通して、内容をどのくらい理解できたかはわかりませんが私自身にとって世界の最先端に触れることができたことは、とても大きな刺激となりました。この刺激を忘れずに日々精進していきたいと強く思いました。
 お世話になった先生方には心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

Euretina(ユーレチナ)2016参加記

村松 大弐

 今年も世界最大の網膜硝子体学会、EURETINAに演題をだして参加してきました。9月に開催されて、毎年開催国の変わる会場は、北欧 デンマーク王国のコペンハーゲンでした。
この学会の特徴として、新しい手術や治療の話題がでやすいという点があげられます。かつて世界最先端を走っていた米国では、近年では様々な研究への制約が多くなってきているので、新規治療などは、欧州初のものが多くなってきている様です。今年多くの演題がでていた話題としては、眼内レンズの強膜内固定の手技が多かった印象があります。また、シリアスな話題としては、スペインで大量発生したパーフルオロカーボン眼内炎の報告がでていました。我が国には入っていないドイツの製品ですので、皆様は心配される必要はないのですが、ロシアの工場でコンタミがあったようです。しかし、発生時に数多の眼科医が報告していたのですが、薬剤メーカーはとりあげようとせず、スペインの眼科医たちが連盟して原因を究明してこの事象は分かったようです。やはり、臨床医の印象や、それに基づくアクションが重要なことが学べました。
 各大学から少人数参加の国際学会ならではの楽しみとして、日本人眼科医との深い交流もあげられます。普段ゆっくり話せない教授陣とも語り合え、今年も女子医、京都府立、杏林、慶應、新潟、千葉、名古屋市立や大阪市立大学の先生方と食事などをご一緒させていただきました。また学会の後半にはESCRS(欧州白内障学会)が、同じ会場で開催され、他分野の先生方ともお会いする機会もありました。さらに、GOAPアワードという研究助成金の賞金を米国留学中の奥貫陽子先生が獲得され、名誉ある受賞式がEURETINAにて行われ、世界中から受賞者が集まるとの情報を得たので、レセプションパーティにも参加してきました。
 忙中閑あり。学会の合間をぬって、市内観光をしたり、シェークスピアの戯曲、「ハムレットの舞台となった世界遺産のクロンボー城が近くにあったので立ち寄ることもできました。
 さて、北欧はもともとの物価が高く、さらに通貨も高く、消費税も25%程度かかるため、日本人旅行者にとって大変でした。この高負担が北欧の高福祉を支えているのですが、人口規模も少ないので、必ずしも日本の進むべき道を指し示しているわけではないようです。また受給年齢引き上げもあり、我が国で報道されているようなバラ色の生活ではないようです。そんな中で見習いたいと思ったのは、デンマーク独特の、ヒュッゲ(Hygge)と呼ばれる「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気があって、だいたい幸せならOKというスタイルです。自然環境の厳しい状況ならでは生まれた価値観で、こういう哲学があるので、デンマークは世界一幸せな国であるようです。台風や地震などが多い日本でも、本来もっていて失われた美徳のような気がしました。
 来年のEURETINAはバルセロナで開催です。皆様、奮ってご参加ください。

 a 学会場のレジストは長蛇の列
 b 女子医大の先生方とランチ
 c GOAP授賞式 奥貫先生と
 d デンマークの王宮