東京医科大学

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学会・研究会の報告

15th World Congress of Pain(IASP) in Millan

投稿者:内野

カテゴリ : 学会

 8月26日から約1週間にわたって開催されるIASP(国際ペイン学会)に出席のためイタリア・ミラノに25日に向かうことになった。IASPの参加は初めてである。この学会は、世界規模で疼痛管理のあり方を考えていく格調高い学会と言える。実は、25日にICUの患者が移植治療を受けるためにアメリカに搬送されることになったため、25日は、朝から東京医大は準備で大変であったと思う。関根先生が、搬送に付き添う形でアメリカに向かっていただいた。本当にお疲れさまでした。                                                                                      

さて、私は、演者の福井先生と成田からミラノに飛び立った。12時間をかけてマルペンサ国際空港に到着した。お昼に日本を飛び立ち、夕方5時すぎに到着となった。Baggage Claimで福井先生のポスターの入った筒を待つこと1時間、出てこない!Baggage foundに問い合わせたら「壁の向こうにある」と一言。言っている意味が理解できないと伝えると荷物が回るカウンターの向かいの地面(こちらからは壁の後ろ)にポスターの筒が打ち捨ててあった。驚きの扱いだ!さすがいい加減の国?荷物の取得に2時間近くかかりホテルまで送迎してくれるはずのH◎Sの職員が帰ってしまった(とても不幸です.怒①)。             

そのため、リムジンバスで自力でミラノ中央駅まで到着、益田先生と出会い彼らもタクシーに乗るということなので一緒に行こうとしたら、タクシー乗り場まで荷物を運んでやるというあやしいポーターが登場。益田先生は、彼に荷物の搬送を頼んでしまったため止む無くこのポーターを使うが、わうずか70mの距離の搬送で10ユーロの請求をされた。(空港から駅までバスで10ユーロでした。怒②)みなさん駅では自力でタクシー乗り場まで行きましょう。4人でタクシーに乗り無事にホテルに到着した。ホテルに到着してからH◎Sの職員から安否を尋ねる電話があった。ずっと空港で待っていたとのこと(本当だろうか?H◎Sのボードすら見当たらなかったが?空港に来ていなかったのかも?怒③)。                

到着早々から、いろいろなことが起きたがなんとかATAホテルに到着できた。このホテル(APAホテルではありません)は、ヨーロッパにいくつもの支店を有する高級ホテルだということが到着して判明。部屋もかなり格調高い雰囲気である。夕食は、近くのレストラン・Rocking Horseへ行くことにした。レストランに行く前にスーパーを教えてもらい水などを調達に行った。「そこの道を左に曲がってあるいて3分くらいでスーパーがあるわよ。」と店の女性従業員が説明。左に曲がって3分いくとビルの間でまったく店などない夜9時30分を回りかなり危ない雰囲気の中スーパーを探す。途中で何人かに尋ねるが、「そこを曲がって左」とか「まっすぐ行くと見えてくる」など見解がまちまち!散々迷ってやっとスーパーに到着する直前に謎のアフリカ人が声をかけてきたのでスーパーに入りその場を回避!水を購入して帰宅する我々を店の前で待ち伏せていることが分かったので走って逃げました。危ない!危ない!道安内が全く信用できません(怒④)。                                  

しかし、ようやくレストランへ到着!しかし、最初のレストランでないところをなぜか選択した。ビスマルクというピザ、パスタ、サラダとビールを注文した。ピザやパスタが出てきたので期待を込めて食べてみたが・・・・・・「ピザは、味が薄くおいしくない。パスタは塩の塊のような味付けで他の味が全くわからなくなってしまう。」「イタリア料理は、おいしくないのだろうか?毎回、ヨーロッパの国を訪れると料理がはずれが多いのは店の選択なのか、あるいは本当においしくないのか?どちらなんだろう?うーん」塩味が強すぎて血圧が上がりそうなため危険を感じ途中で食べるのを控えた。このままいくとイタリア料理は結構からだに悪いかもしれないと思った(少し残念)。食後は、ホテルへ戻り日本からのメールに対応してから就眠となった。  

翌日は、登録とリフレッシャーコースを聴講するために地下鉄でGALIBARDI駅からAMENDOLA駅に向かった。切符を購入するために自動販売機と格闘となった。イタラリア語から英語モードに変換のキーを探して購入する方法を駅員に教えてもらいようやく購入。AMENDOLA駅に到着して駅の階段をのぼって学会場に向かっていく最中に後方からなぞのアフリカ人が大声でこちらを呼び止めようとして速足で向かってくるので福井先生と走って学会場へ向かう。学会場のゲートをくぐり間一髪で難を逃れた。イタリアにはアフリカ系の移民が多数おり、あまりよい就職先は斡旋されずホームレスに近い状態で生活しているようである。彼らは、主に清掃夫などになって生活するか物乞いや盗みで生活をつないでいるようである。日本人はお金をもっているという認識がされているため狙われやすのだろう。   

リフレッシャーコースでは、CRPSの講演を聴講した。薬物療法などを基盤として多くの治療法が提唱されているが、確実に痛みを緩和できる治療法はまだないと言える。ただ、理学療法や認知行動療法が主体となってきているという印象を受けた。ドイツの神経内科医は、CRPSの患部にマイクロダイアリシスチューブを通して患部に発生するサブスタンスPの濃度を測定して、この物質が痛みとかなり相関しているということを報告していた。また、ベルギーのHyugenは三環系抗うつ薬を中心とした薬物療法の在り方を提唱していた。ヨーロッパでは Evidence-based Interventinal Pain Medicineという概念がひろがりつつあるという印象を受けた。リフレッシャーコースは、午前中に12項目があり、1項目を3人の演者が1人各1時間ずつ講演する。午後も12項目で同様の形式となっていた。ワークショップも同様の形式である。                                               

イタリア料理に戻るが、結局ピザは3件目でやっとおいしいと感じられるものに遭遇!パスタは、滞在期間の中で、レストランのものは全滅!唯一学会場で売っていたパスタが日本人向けの味であった。デザートは、ティラミスは日本の圧倒的な勝利と感じた。アイスクリーム(ジェラート)の専門店に行ったが、店員と会話が十分通じず、バニラアイスにチョコシロップをかけてもらいたいと頼んだのにチョコアイスが乗ってきた。桃のアイスを頼んだ福井先生も私と同じアイスになっていた。

                    

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学会場の前で撮影

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 発表中の福井先生と発表後に滋賀医大・福井先生と記念撮影

IMG_4094.JPGIMG_4049.JPG 頭痛治療用に開発されたデバイス。低周波で神経を刺激する。どこかの漫画のキャラクターのような福井先生!このデバイスは、私もためしてみましたが、頭痛がしてきました。なぜだろう頭痛治療用のはずなのに?

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 リフレッシャーコース(左)と新規に開発された棘突起を上下で挟んで椎体の固定を行い、脊椎の不安定性を治療するデバイス(右、左下)。 

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IMG_4102.JPG 椎体固定用のデバイスとボツリヌストキシンの講習会(右)

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 ジェノベーゼとトマトソースのパスタ:とても塩味が強く、食べている最中に命の危険を感じた。血圧は200以上になったかも?

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 生ハムのサラダ(チーズがしょっぱかった)とピザ(ビスマルク):ピザはチーズが薄味で全体にうまみに欠けるものであった。ただ、同じメニューを3件のお店でトライした。写真のピザは最後に行った店で、ここのピザはとてもおいしかった。IMG_4108.JPG

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IMG_4109.JPGOsteria Bambero Rosssoのピザ、ホウレンソウバター炒めは美味であったが、パスタ(カルボナーラ)は塩味が強い。おいしいという印象を受けなかった。

 

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 デザートのチョコアイス(左)とティラミス(右):ティラミスは茶巾寿司かと思った。

味は「うーん」「日本のイタリア料理のレベルが高いのか?味の根本が違うのか?よく分からないが、残念ながらあまり美味しいという印象は受けなかった. 

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IMG_4175.JPG ミラノの大聖堂(ドウオウモ)

学会で再来年のペイン学会で招聘したい演者と交渉をしてくるというのが今回の学会の別のミッションであった。幸いニューロサーモのJOS KOSTERNがすでに複数の候補者に声をかけてくれていたので招聘状を渡してもらうことをお願いしてきた。概ね、日本ですでに選抜していった演者候補の方たちは日本に来ることに前向きで好意的であった。どの演者もその世界の一流で方であると確信している。2年後が楽しみである。到着してから3日間は、イタリア料理がなじめなかった。4日目に行った「ビストロ・ペーサ」は、料理がかなり洗練されていておいしく値段もリーズナブルであった(喜①)。

最終日は午前中に聴講とペイン関係の本を購入した後に、お土産を買うために免税店を訪れるツアーを申し込んだ。福井先生が免税店のあるFOX townを調べてくれたところスイスのようであった。何の説明もなかったがパスポートが必要と思い携行していった(大正解であった)。約20人くらいがツアーに参加したが、バスが学会場を出発してまもなくガイドがFOX townはスイスにありパスポートが必要と言ったためパスポートを持っていない数人の乗客が大騒ぎになった。ところが、バスは、停まってこの乗客を降ろすことなく高速へ入りスイスへ激走!ガイドは、「ま、少しリスクがあるけどいいかしら!ラッキーを期待しましょう」とあっけらかんとしていた。「本当にいいのだろうか」と思いながらもイタリアとスイスの国境の検問では幸い検閲がなく免税店へ!「これは、いわゆる国境破り!不法入国ということか?すごいツアーを企画するイタリア人はとてつもなくいい加減なのか?」などと思いつつもなんとか買い物を終えて無事に帰宅(疲労困憊)。

最終日は、午後3時にミラノを出発してスイスの免税店へ行く過激なツアーが終わり7時にミラノへ帰国した後に、インターネットでホテル近くのレストランをチェックした結果「Al Garibardi」へ行くことに!電話で予約してお店へ!とっても愛想のよい給仕が案内してくれたが、注文の段階になると「ボンゴレ好きか」とか「貝は好きか?パスタはどうだ」と質問してきたので「パスタはあまり得意ではない」とのみ答えたら、なんと「あさりの酒蒸し」と「ムール貝のトマト風味酒蒸し」がいきなり出てきた。頼んでないんだけれどと思ったが、食べてみると意外とおいしいので少し許せる気がした。メインにステーキを頼もうとしたところちゃんと肉を持ってきてくれて説明をしてくれたので親切だとおもっていたら、メニューにある「調味料をふんだんに用いた鶏肉のロースト」はどんなものですかと尋ねて「2人で食べるのは量が多くないですか」とも聞いてみたが、突然、英語ではなくイタリア語のみになり「シー、シー」と言われ。そのうちに、300gのステーキと鳥1羽をまることから揚げにした「スパイシーチキン」が運ばれてきてびっくり。シーザーサラダに似たサラダを発見したので頼んでみたが、全く異なるものであった。「最後の晩餐」は、絵画とは違いとても豪華なものになったが量が多すぎてすべてを食べるのが大変であった。責任感強く完食した。味は、かなりいけるが苦しい!当然、これまでの滞在期間で一番多額の出費となった(怒⑤)。「静かなる食事の強要」なのかあるいはだまされたのだろうか?ただ、今回の学会では会場が遠かったので地下鉄を乗り継ぎ徒歩で毎日移動した結果、一日に平均で6km近く歩いていることが分かった。その効果か、少しメタボが減ったかもしれない?感謝!

実は我々の泊まっていたホテルでは毎日、サッカー選手のトレード会議(Clasico Merkat)が行われていてスカウトマンやオーナーが毎日真剣に・殺気立った雰囲気の中で話し合いを行っていた。朝食もスカウトマンやオーナーがいてレストランはほぼ満席、昼間はロビーで交渉といい加減なイタリア人とは違う別の側面を垣間見た。

今回出席したIASPでは、世界中のペインクリニックに携わる医師たちが集い最先端の疼痛治療を提供していることが分かった。北欧は薬物療法が主体、ドイツやフランスイタリアは、薬物療法と神経ブロック、オランダは Interventinal Pain Medicineを推進しているという印象を受けた。ただ、日本のペインの技術は決して劣っおらず、神経ブロックの技術は、むしろ胸を張ってほこれるものであることも実感した。ブロック、薬物療法、理学療法、認知行動療法緩和医療などを総合的に取り入れたEvidence-based Interventinal Pain Medicineを我々も目指していくことが大切であると思った。

今回の、IASPに参加することを御提案いただいた大瀬戸教授ならびに学会中に手術室、外来、ICUを支えてくれた教室員のみんさんに感謝したい。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         

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