東京医科大学

麻酔科学分野 麻酔を受けられる患者さまへ

Staff Room

手術室

スタッフ

 中央手術室では、現在常勤18名のスタッフが働いています。麻酔科後期研修医1年目では手術室・集中治療部・ペインクリニックをローテートしているため手術室には2名が常在しています。その他麻酔スタッフとして専門医3名、指導医2名が働いています。また5名のママさん麻酔科医も週1〜4日と働き方は様々ですが、日々麻酔管理を行っています。その他にさいたま小児病院そして国立循環器病センターより先生方を招き、新生児症例や心臓・大血管症例の麻酔をご教授頂いています。他大学からは、歯科麻酔の先生方の医科麻酔研修を受け入れています。

充実した指導体制

 麻酔科担当症例においては、ほとんどの症例を二人一組で担当します。初期研修の先生は気管挿管や観血的動脈圧ラインなどの手技はもちろんのこと、麻酔の基本的概念、呼吸・循環管理などの全身管理を学びます。

 後期研修1年目では、通常の気管挿管に加えて、挿管困難対策の様々なデバイスの扱いを学びます。その他にも、硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔、中心静脈カテーテル挿入などの基本的手技を習得していきます。麻酔指導医と共に心臓・大血管手術や呼吸器外科手術、ハイリスク症例などにも携わり、当院で行われている手術を一通り経験していきます。また、経験症例に偏りがないように担当症例数の記入を行い、例えば硬膜外麻酔管理症例や小児症例、産科症例などは希望があれば積極的に担当してもらうことも可能です。

 後期研修2年目以降は指導的立場で麻酔を担当しますが、日本麻酔科学会認定の麻酔専門医を取得するまでは、さらに麻酔専門医・指導医がスーパーバイザーとして適宜アドバイスを行います。さらに自らの判断のもとで安全かつ堅実な麻酔管理を行えるようになることを目指し、多種多様な麻酔管理を行います。その他、超音波ガイド下神経ブロックなどの経験も積んでいきます。

 そして後期研修3年目以降では、ICU研修の経験を生かして、術前から術後まで、周術期管理の理解を深めることを目標とします。麻酔は少しずつ、ハイリスク症例を担当していくようになります。個々の研修プログラムによっては、研修提携病院での心臓麻酔や小児麻酔などの研修を経験します。

 本院手術室での研修以外の様々な教育プログラムを用意していますので、詳しくは「研修プログラム」「専門医・指導医教育」のページをご覧ください。

1日のタイムスケジュールと残り番制度

7:50~ モーニング・レクチャー
8:10~ 朝礼
8:30~ 麻酔管理
11:00~ 交代で昼食(弁当)
~夕方 術後回診、翌日または翌々日の担当症例の術前回診
18:00~ 当直・残り番体制へ

 後期研修1年目の先生向けには、麻酔管理について入局後4月〜7月頃まで先輩麻酔科医からモーニングレクチャーを毎朝7:30から行っています。7:50からは研修医や後期研修1年目の先生を対象としたレクチャーや抄読会、勉強会を行っています。その後、朝礼を8:10から始めます。

 レクチャーの詳細は、「専門医・指導医教育」のページをご覧下さい。朝礼では前日の麻酔のフィードバックと、当日のハイリスク症例のプレゼンテーションを行います。プレゼンテーションでは、麻酔管理のポイントはもちろんのことその他の麻酔科医との質疑応答などもあります。

 患者入室時間は8:15(硬膜外麻酔併用予定患者)、8:30、9:00となり、一日1件〜4件の麻酔を担当します。1症例を2人で担当することにより、翌日もしくは翌々日の症例の術前回診を行えるという利点があります。またこの際に術後回診に行く事も可能です。これにより、翌日・翌々日の担当症例のリスクを早めに把握することができ、主治医への検査追加依頼やカンファレンスなどを迅速に行うことが出来ます。担当症例については麻酔を一緒に担当する上級医と麻酔計画を立て、その上で曜日毎に決められた麻酔管理リーダーへプレゼンテーションを行います。

 業務のメリハリをつけるために、週1回の残り番制を設けています。手術時間が長い症例などは、始めから当直や残り番が担当します。その他の症例に関しては可能な限り残り番が順次引き継ぎを行い、最終的に麻酔管理症例が1件になるまで残り番が担当します。例外としては、ハイリスク症例や教育的な症例では交替せずに最後まで麻酔をかけることもあります。自分の症例には最後まで責任を持つというプロ意識を育みながらも、それと同時に、個人や家庭を犠牲にしない工夫も施していくことで、仕事と家庭が両立する持続可能な職場環境を目指しています。


東京医大の外科手術の特徴

 新都心に位置する当院には、豊富な症例が集まります。特徴的なのは、全身管理を担う麻酔科にとって必須ともいえる、呼吸・循環に関する手術が多いことで、これらの手術を通じて麻酔のスキルを磨くとともに、様々な研究活動を行っています。

ロボット支援下手術

 中でも注目なのがロボット支援下手術(以下 Da Vinci手術)です。現在、泌尿器外科を筆頭に、婦人科、消化器外科、呼吸器外科、頭頸部外科などの多くの診療科で、ロボット手術が導入されています。私たち麻酔科も、これに関連する臨床研究を手がけています。

心臓血管外科

 当施設では成人の心臓および大血管手術を行っています。心臓血管外科主任教授の荻野均先生は自己弁温存大動脈基部置換術、肺動脈血栓症手術といった難易度の高い手術をご専門にされており、私達麻酔科は術中管理や経食道心エコーを通して患者様の予後改善に役立てるよう日々修練を積み重ねています。また、心臓血管外科の麻酔では脳や脊髄の虚血が大きな問題となりますが、中枢神経における虚血のメカニズムの解明と臨床へのトランスレーショナル・リサーチは教室の大きな研究テーマでもあります。

 また国立循環器病センターの先生をお招きし、月1回のペースで経食道心エコーのレクチャーを行っていただいています。研修医・歯科麻酔の先生のレベルから、実際心臓麻酔を担当する麻酔科医レベルまでさまざまな疾患やレベルに応じたご指導を頂いています。

呼吸器外科

 呼吸器外科の肺癌手術は、歴史的にも非常に古くからの実績があります。片肺換気麻酔の豊富な経験を基に、私たちは新しい気管支ブロッカーシステムを考案しました。2002年にクーデック気管支ブロッカーとして製品化されて以来、これまでに全世界で6万件の患者がこの気管支ブロッカーによる手術を受けています。
 この他、呼吸器外科としては気管ステント挿入術の症例もあり、究極的なDifficult Airwayの麻酔管理のノウハウも充実しております。

産婦人科手術

 当院では、2009年に婦人科領域でのDa Vinci手術国内1症例目を行い、現在までに300件を超えるDa Vinci手術の麻酔管理を行ってきました。その他、良性疾患に対しては腹腔鏡手術が積極的に行われています。また産科領域では、緊急での全身麻酔管理帝王切開や定時の帝王切開術の麻酔を担当します。くも膜下麻酔だけでなく、全身麻酔管理での帝王切開術を経験することが可能です。

 その他、低出生体重児などの新生児症例やさまざまな科の症例を担当することができ、臨床研究にも力をいれています。