私たちの研究室
私たちの講座では、伝統的に脳虚血や脳蘇生に関連した研究を中心的に行ってきました。現在では敗血症に重点を置いて研究を進めています。昭和34年以降、約150名が医学博士号を取得しています。教育研究棟15階の研究室には動物実験やバイオラボのための機材(動物用人工呼吸器、麻酔器、細胞培養のクリーンベンチ、RT-PCRなど)が設置されており、マウスやラットの脳虚血モデル、敗血症モデル作成のノウハウを取得したスタッフが従事しています。日本国内に数台しかないOROBOROS Oxygraph-2kRを3台有し、ミトコンドリア呼吸鎖の機能解析を効率的に行っています。
これまでの留学先
スウェーデン ルンド大学 |
ドイツ マインツ大学 麻酔科 |
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アメリカ カンサス大学 |
アメリカ ハワイ大学 |
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海外の研究者とのコラボレーション
ルンド大学(スウェーデン)のワレンベルグ脳神経科学研究所とのコラボレーションにより、ミトコンドリア呼吸鎖の解析を軸にした、脳虚血や敗血症関連脳症、麻酔薬の臓器保護・臓器障害作用に関する研究を行っています。平成27-28年だけでも計3回、スウェーデンから研究者が来日し、私たちの研究室で研究活動を行いました。スウェーデンチームとは、スカイプ(スウェーデン生まれです)を利用したWebカンファランスも行っており、彼ら生粋のサイエンティスト達から、適宜、研究の指導やアドバイスを受けています。
スウェーデン留学について
2015年6月から1年間、スウェーデン南部にあるルンド大学に研究留学してきました。お世話になったZaza Kokaia教授の研究室は長年、脳梗塞後の神経再生を研究しています。日本が誇るiPS細胞から分化させた神経幹細胞等を移植し、神経再生のメカニズムを研究するプロジェクトに参加させて頂きました。
BMCにて |
基礎研究を学ぶということ
臨床医として海外に行き基礎研究を学ぶ意義とは何でしょうか? その答えは人によって様々だと思いますが、ひとつは正解の分からない仮説を立て証明していくという考え方を知ることではないでしょうか。ともすれば病院での日常業務に追われ,正しい治療をすることだけを追い求めてしまいますが,自分の診療行為を振り返り検証し、次の診療に役立てるという姿勢がこれからの医師には益々求められると思います。
ルンド大学の図書館 |
スウェーデンでの生活
ルンドはスウェーデンで7番目の規模で約10万人が暮らす街です。政府が積極的に移民を受け入れていることに加え、大学や研究所にEU圏はもちろんアジア、東欧などからも大勢の人が集まるため国際色豊かな街です。ただし日本人はかなりマイナーですので、街中で日本語が聞こえてくることはまずありません。そのような環境で暮らすというのも貴重な体験でした.
スウェーデン人はヨーロッパでは珍しく、ウチとソトのある民族です。シャイな人も多いので道端やレストランで知らない人から声をかけられるということはほとんどありません。スウェーデンは個人主義、日本は集団主義という違いはありますが、一旦仲間になると非常に良くしてくれるところなどは日本人と似ているかも知れません.。
スウェーデン人の母国語はスウェーデン語ですが、英語も堪能ですので、仕事や生活は英語が使えれば不自由することはありません。
ルンド郊外にて |
留学のススメ
大学の医局に所属するメリットのひとつとして海外留学があります。臨床につながる基礎研究を学ぶだけでなく、様々な国と人たちと一緒に仕事をする大変さや楽しさを経験することで、大きく成長できる機会だと思います。不安なこともあると思いますが、多くの若い先生に海外に留学していただけたらと思います。
留学にあたり、ルンド大学のスタッフの皆さま、快く送り出してくれた医局員の方々にお礼を申し上げます。