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学会・研究会の報告

学会報告 周術期不整脈

投稿者:原 直美

カテゴリ : 学会

入局1年目で3日間学会に参加させて頂き、神戸でよく学び、よく遊びました☆
リフレッシャーコースの周術期不整脈を聴いたので内容を簡単に紹介したいと思います。
抗不整脈薬の分類には、1970年代に作られたVaughan-Williams分類と1990年代のSicilian Gambit分類があります。主な作用機序で分類したVaughan-Williamsは不十分なところもありますが、臨床現場ではこの分類で考えれば十分で、海外ではこっちが一般的なようです。
第1群のNaチャネル遮断薬は、脱分極を抑制することで異常興奮している心筋細胞を抑制しますが、同時に正常な心筋細胞にも作用して、心機能の低下を引き起こす可能性があるので適応を考えて使った方がいいようです。代表的なリドカインは作用も弱いため、もしこれで不整脈がよくなればラッキーとのことでした。
第2群のβ遮断薬(β1選択性のオノアクトなど)は、不整脈の抑制よりも脈拍低下がはっきりとみられるため、上室性頻脈やAFに伴う頻脈に用いるといいようです。
第3群のKチャネル遮断薬(ニフェカラント、アミオダロン)は、VTやVFに用いられます。副作用としてQT延長がありますが、日本人では頻度が少ない印象で遺伝的な違いによるかもしれないようです。また、アミオダロンの長期投与では間質性肺炎が時に致死的になるため恐れられていますが、短期与であれば問題にならないそうです。
第4群のCaチャネル遮断薬のうち不整脈作用のあるベラパミルは、洞房結節や房室結節での作用が大きいため、上室性頻脈が一番の適応だそうです。

最後に、術中に心室性不整脈がパラパラあるが、循環動態に影響ない場合どうしますか?という例が挙げられていました。
この場合、リドカインを使ってみてもいいが、まず治療効果なくかえって心筋抑制などの不整脈が問題になる可能性がある。またPVCが術中にあっても、術後はなくなることが大半で、予後に影響しない。よって、我慢する、ことが必要とのことでした。

以上つたない文章ですが報告とさせて頂きます。

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