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学会・研究会の報告

東京科大学医学会総会

投稿者:内野

カテゴリ : 学会

第169回東京医科大学医学会総会が、6月2日に開催された。今回から、主任教授は、座長で駆り出されるというルールとなったため、特別講演の座長を担当することになった。

「膵・胆管合流異常の新たなる展開 -病態・診断・治療の総点検ー」という題名で外科学第三講座の土田主任教授が講演をされた。膵・胆管合流異常には①拡張型、②非拡張型があり、癌化のリスクがるため手術適応となるということであった。遺伝子解析やバイマーカーによって組織の変異を捉える試みもされておられるということであった。分野が全くことなる癌の世界の話題であったので少し理解が難しかったが、興味深い内容であった。

午後の最後のセッションでは、当科の臼井先生が「The influence of anesthetic agents on mitochondrial function as determined by high-resolved respirometry of human blood cells」という題名で発表した。静脈麻酔薬のプロポフォール、ミダゾラムと吸入麻酔薬のセボフルランのミトコンドリア呼吸に及ぼす影響を解析した結果である。プロポフォールは、ミトコンドリア電子伝達系のComplexI,IIを抑制し、吸入麻酔薬のセボフルランは、ミトコンドリア電子伝達系のComplexIのみを抑制するが、ミダゾラムは、どちらも抑制しないという結果で、麻酔薬有する性質によってミトコンドリア電子伝達系に及ぼす影響は異なることが明らかとなった。今後は、この違いがどのようなメカニズムによるものであるかを検討していくことが重要と思われる。臼井先生は、要点をわかりやすくまとめて報告され、質問にもしっかりと答えていた。これでESAも安心だ!IMG_3456.JPG

また、同時刻に今年の4月に海外の大学でスーパーポリクリを体験した8名の学生の報告がポスター発表で行われた。どの報告も大変まとまっていて若手医師の発表よりも内容が濃く立派なものであった。特に、ユトレヒト大学麻酔科には、石川卓也君と野中瞳さんが1か月研修留学をされた。ポスターを英語で作成し、かなりの努力の跡が伺えた。また、今週の木曜日の口演は、英語でされていたが、今回は日本語で発表をされた。石川君は、手術室実習で気管挿管を3名、LMA挿入を10名体験できたことや、自分で生体腎移植の麻酔管理計画を作成し、麻酔管理をした経験を報告してくれた。野坂さんは、ユトレヒト大学ICUでの全身管理についての要点やオランダ人の安楽死の捉え方を学んで来られた経験を報告してくれた。2名とも要点をしっかりと述べて、謝辞もしっかりと述べて大変わかりやすく、この研修を通じての人としての成長が認められたことが実感できて大変感動した。とても良い報告会であったと思う。

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第169回東京医科大学医学会総会がこうして終了したが、来週からは、いよいよ日本麻酔科学会が始まり、私は学会最終日の9日夜からフランスのESAに参加のため渡欧することになっている。今年の4月に訪れた際にはエスカルゴにみごとに当たってしまったので今回はその類は食べないようにしたい。今回のESA参加の目的は、①まず、来年のスーパーポリクリの受け入れ先を増やすために複数の大学にお願いをすること②麻酔科からの若手医師の留学の受け入れのお願い③共同研究の方向性の討論④モンペリエ大学麻酔科カプデビラ教授に超音波ガイド下神経ブロックのハンズオンコースに当科の若手医師が参加させてもらえることに対して御礼を述べて、若手医師の派遣(おおよそ1週間)時期を検討することである。同日、行われた、阿蘇スーパーカルデラマラソン(100km)を当科の田上教授が時間内に完走されたことを付記させていただく。

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