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学会・研究会の報告

日本PC学会用語委員会での話題

投稿者:田上

カテゴリ : 学会 研究会

日本麻酔科学会会期中に、日本ペインクリニック学会用語委員会が開催されました。この中での話題を二つほど紹介致します。

Painの和訳は何でしょうか?

「痛(痛み)」や「疼痛」と答える方が多いと思います。「疼痛」は医学用語では「痛み」と同義語ですが、一般用語では「疼(うず)く痛み」と解釈され、「痛み」の中の一部の痛みを表現する言葉になるのです。用語委員会ではPainの和訳表記を「痛み」または「痛」に統一できないかと議論しています。この件に関するアンケートがPC学会員の皆さんにはすでに送られたと思いますので、ご協力よろしくお願いします。

「麻薬」と「オピオイド」の違いを知っていますか?

「麻薬」とは「麻薬および向精神薬取締法」により麻薬指定されている物質で社会用語です。中枢神経系に作用して依存性や精神毒性、乱用を生じるおそれがあるものをいい厚生労働省の「依存性薬物検討会」で指定されています。モルヒネ、コデイン、オキシコンチンなどのオピオイドや非オピオイドのケタミンが指定されていますが、ブプレノルフィンやペンタゾシンはオピオイド(オピオイド受容体に結合して薬理作用をもたらす)であるのに麻薬指定されていません。

「オピオイド」は中枢・末梢神経などに存在する受容体(μ、σ、κ受容体がある)に結合して薬理活性をもたらす物質の総称であり、医学・薬理学用語なのです。代表薬として天然由来物であるモルヒネがあり、その他合成化合物であるフェンタニルや内因性オピオイドのエンドルフィン、オピオイド受容体の部分作動薬であるブプレノルフィンやペンタゾシンがあります。

こうして改めてPainや麻薬、オピオイドとは何かと考えると奥深いものがありますね。

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