東京医科大学

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学会・研究会の報告

ユトレヒト大学病院 訪問記

投稿者:内野

カテゴリ : 学会

6月13日(月)午後は、ユトレヒトに移動しました。電車でアムステルダムから25分の距離です。

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スーツケースの車輪が壊れてユトレヒトの駅からホテルまで四苦八苦でした。ホテルはKarel Vという有名なホテルでしたが軍人病院を改装したと知ってびっくり!フロントのガラスケースに人の骨が置いてありました。亡くなった方を解剖したということも記載されていました。道理で安いわけだ。街中を散策しましたが、医学用の人体模型などの骨董品を扱うお店があってびっくり。かなりリアルでこんなものを購入する人がいるのかと思いました。夕食はギリシャ料理でした。ものすごいボリュームですべてを食べることができませんでした。

みんなげんなり。ホテルに戻り、夜スパに行きましたが、誰もいなくてかなり怖かったです。

IMG_2536.JPG明日は、朝早くからユトレヒト大学訪問なので早々に寝ました。朝八時にユトレヒト大学の玄関に集合と言われていましたので7時30分にはホテルを出発し、タクシーでユトレヒト大学病院に出発。病院に着いてびっくり!新しく建て替えただけあって大きなスーパーのショッピングモールみたいでした。

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Prof Buhreが出迎えて歓迎してくれました。手術室を少し見せてくれました。

丁度朝のミーティングをしていました。 

Buhre教授に一日の手術件数を伺うと70件の全身麻酔が行えわれ、年間2万件近くの全身麻酔を受け持っているとのことでした。オリジナルの麻酔科医は17名、麻酔看護師が40名でこの症例数を切り盛りしているとのことでした。

IMG_2556.JPG彼に、単刀直入に「日本から短期あるいは長期に臨床留学が可能でしょうか」と伺ってみましたところ「オランダは他のヨーロッパの国々に比べて外国人が臨床を行うことに寛容である。そのため、ちゃんとコミュニケーションが取れるくらいの英語力があるなら来ても良いですよ。」とのお返事でした。

 

 

 

 

 

 

 

次にICUに案内してもらいました。ユトレヒト大学のICUはヨーロッパでもっとも進んだICUと言われています。すべてが個室で36室あり、衛生面と感染制御に重点を置いた管理がされています。

一人の看護師が2つの部屋を同時に監視できるように設計され、患者はまどから外の景色が見られ中庭が作られています。患者が急変したり処置が必要なときは部屋のガラスが曇りガラスになります。

Dr.Diederikが案内してくれました。

ビデオは撮ってあるのですがサイズが大きすぎてアップロードできないためDr.Diederikの写真だけ載せます。 

IMG_2584.JPGICUが古く、患者のプライバシーが守られていない状態だったのでICUを新しくすることが急務だったとのことでした。

オランダ中から人材を集めてICUが昨年オープンしました。最初は、人工呼吸器も個人個人が好みがあって多種類のため効率が悪かったと彼は述べています。

そういえば、ユトレヒト大学のICUには神経集中治療の大家であるOlaf Cremerがいることに後で気付きました。

 

 

 

 

聞いてみたいことがありましたのでAPRV(Airway Pressure Release Ventilation)について尋ねてみました。

U「オランダでは、人工呼吸管理の際に主にAPRVを使うんでしょう」 

D「何それ?」 

U「使わないんですか?そんなばかな。APRVは、こちらのKosecioglu教授の師匠のLachmann先生が良く用いていた呼吸管理の方法なのですが?あまり使わないのですか?」

D「使わないよ。」 

U「え!それでは、主にどんな呼吸管理法を用いるのですか?」 

D「PSV+PEEPだけれど」

U「うーん!APRVって日本人だけがありがたそうに使っている呼吸法なのかな?日本人は海外の新しいものにすぐ飛びついてしまうから!APRVをオリジナルで使用していたこの国でもあまり広まっている感じではないのは正直びっくりです。」

D「APRVという方法もあるのは知っているけど、どちらかというとECLAの方が良く使うね。一度導入すると長いと1ヶ月くらい使っているよ」

U「ありがとうございました。最後にもうひとつ、日本から臨床留学が可能でしょうか?」

D「医師や看護師は概ね英会話ができるので大丈夫だけれど患者さんはオランダ語しか理解できない人もいるから、ベストはオランダ語が話せることだけど。まずは、英語が話せることだね。コミュニケーションが取れないとチーム医療ができないでしょ。」 

U「どのくらいの会話力が必要なのでしょうか」 

D「うーん。難しいけれど。君位話せればいいんじゃないのかな!通常のやりとりができないとお互いに厳しいからね。」

U「・・・・・・・・・・がんばるように若い医師に伝えます」

D「楽しみにしていますよ。」

U「今日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございました。」

いずれにしましてもドイツもオランダも臨床で留学することは可能であることは明らかとなりました。しかしながら、ドイツもオランダも英会話がしっかりできてコミュニケーションが取れなければ来ても辛いだろうなというのが正直な印象でした。

でも、これは努力すれば超えられる壁です。

当科の若手医師のみなさん、海外は広くみなさんを受け入れてくれるようです。

英会話の習得をがんばってください。これが大切です。

多くの方が、海外に羽ばたいてほしいと思っております。また、多くの留学先を確保するように努力したいと考えております。

今週、ユトレヒト大学から短期研修の受け入れが可能であるという連絡が来ました。詳細は、テレビ電話でバロン教授と一緒に先方と話し合って詰めていきたいと思います。臨床留学近しかなと感じました。我と思わん方!待っております。

ユトレヒトを訪れたのは正解でした。大変満足な訪問でした。

いよいよデンマークに移動し、共同研究者のいるスエーデンに向かいます。

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