東京医科大学

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学会・研究会の報告

日麻リポート 「Sepsis」「冠a ステント」「脊髄虚血」「スタチン」

投稿者:宮田

カテゴリ : 学会

神戸で行なわれた2011年の日本麻酔科学会に出席しました。3日間出席したのは何年ぶりかでしたので色々勉強してきました。

少しご紹介します。

一日目AMはseptic shockの管理について聞いてきました。日本では血液浄化で有名な先生方の様々な施設の血液浄化の適応についての討論でした。EUPHAS study以降もPMX-DHPに対する適応が施設間で統一されていない印象を受けました。AKIに対するCHDFの適応に関しても同様の印象をうけました。その後、日本医大の竹田先生の呼吸管理の話を聞きました。インフルエンザ肺炎に対する呼吸管理では、どのような人工呼吸器モードを使用するよりもECMOが有効であるとおっしゃていました。

二日目のAMは冠動脈ステント留置患者のPBLDを聞きました。DES患者で抗血小板薬とくにアスピリンを中止する危険性について強調されていました。我々の施設では、2剤の抗血小板薬を中止してヘパリン投与していますが、作用機序的にはヘパリンを投与することで逆に血栓形成の危険性がある という国立循環器病センターの宮田先生の言葉が印象的でした。我々の施設でもDES留置患者の手術が増加しています。プロトコールを作る必要性を感じました。

PMは大血管手術のMEPのセッションを聞きました。東京医大の血管外科に新しく教授として着任された荻野先生もその中でお話しされていました。MEPに関しては、超低体温では低下するが、その後復温前に27度くらい?(忘れてしまいました)で一度一過性にMEPが上昇する体温があるそうです。その後は体温の上昇とともにMEPは改善していきます。フロアーからでしたが、琉球大学の垣花先生が低下したMEPが改善したことで脊髄虚血が否定されるものではない、とおっしゃった言葉が印象的でした。

三日目のAMは、スタチンの周術期使用について聞きました。スタチンには抗高脂血症作用以外に抗炎症作用があることが知られています。この抗炎症作用が周術期に様々な臓器保護作用を示す可能性について、bench to bedsideまで聞くことができました。ただスタチンの副作用や周術期に限られた短期間のスタチンがどのような作用を示すかはまだわかっていないようです。

ちょっと長くなってしまいました。すいません。

お留守番をしてくださった先生方ありがとうございました。臨床麻酔学会は留守番しますのでみんなで勉強してきてください。

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