麻酔研修カードver.8 麻酔覚醒時のプロポフォール投与
2014.07.05
報告者:石崎
カテゴリ : 関連病院
今日、麻酔科をラウンドしはじめたばかりのS先生(研修医1年目)から、
麻酔覚醒時にプロポフォールを投与することがある理由を訊ねられました。
当院の麻酔の多くはセボフルランとレミフェンタニルです。
セボ濃度が高いうちに体動するとすれば、その原因は2つ。
1つは、麻薬性鎮痛薬(フェンタニルもしくはレミフェンタニル)の不足です。
創部痛もしくは気管チューブの刺激に対して、相対的に鎮痛が不足している状態といえます。
通常、呼吸回数が充分にあるので、呼吸回数を見ながらフェンタニルを追加投与します。
もう1つの原因は、不用意な患者刺激です。
たとえ、普段から No-touch Extubation を心掛けていたとしても、
体位変換やレントゲン撮影、肺の吸引や加圧などで、バッキングしてしまう事があります。
すぐに落ち着くのならいいのですが、そうでない場合・・・
呼吸回数が少なければフェンタニル不足はないと考え、少量のプロポフォールで鎮静を深めます。
プロポフォールならバッキングしていても関係なく鎮静できますし、
その後は、呼吸と関係なく代謝されるので、素早い麻酔覚醒が得られます。
機械的に考えるなら、
呼吸回数>15 なら、フェンタニル25mcg 投与
呼吸回数<8 なら、プロポフォール20-30mg 投与
となります。
麻酔覚醒におけるプロポフォールには、その他にも、
自然な目覚め、制吐作用、咽頭反射の抑制、などの利点が挙げられます。
私自身は、体動さえしなければプロポフォールの投与はしませんが、
中には、セボフルランを少し早めに切って、プロポフォールを2-3cc投与するという覚醒方法を、
日常的に行っている麻酔科医もいるかもしれません。
麻酔覚醒の上手い下手が、患者の予後を左右する事があります。
研修わずか5日目だというのに、なかなか良い質問だと思いませんか?
筋がいいです。
これを踏まえて、麻酔研修カードの「麻酔覚醒を考える」の2枚を改訂しました。
ご活用下さい。
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