東京医科大学

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医局カンファランス

(抄)レミフェンタニルによるIV-PCA

報告者:柿沼

カテゴリ : 本院

Efficacy and side effects of intravenous remifentanil patient-controlled analgesia used in a stepwise approach for labour: an observational study T.O. Tveit et al. International Journal of Obstetric Anesthesia (2013) 22, 19-25

オランダのユトレヒトの留学生より

How is the anesthesia of the painless delivery in Japan?
の質問があり、硬膜外麻酔が一般的であると答えました。オランダの無(和)痛分娩率は、日本同様ここ数年で随分増えたようです。かつてオランダは半数が自宅での助産師による分娩であったようで無(和)痛分娩も稀であったようですが変わりつつあるようです。一時は、(Perinatal mortality and severe morbidity in low and high risk term pregnancies in the Netherlands: prospective cohort study. BMJ. 2010 Nov 2;341:c5639.)助産師による分娩と低リスクの新生児死亡について話題になっていました。彼らは、remifentanilによるIV-PCAによる無(和)痛分娩を結構やってると言っていました。で、今回のノルウェーの文献です。対象:妊娠37-40週、ASA PS 1-2 アウトカム:鎮痛(VAS)、満足度、母児の副作用、レミフェンタニルの代謝、Apgar score、胎児心拍数、臍帯血pH  方法    PCA bolus dose 0.15μg/kg + 0.15μg/kg stepwise  Lockout time  2min Check / 15min 持続投与なしのステップワイズ法でのPCAドーズアップ 15分毎の評価 結果:鎮痛に要する量では副作用は許容範囲。満足度は高かった。41例中11例に呼吸抑制(SpO2低下で酸素投与)。過鎮静の可能性が2例。3分の1で嘔気。胎児心拍はやや減少したがApgar scoreは正常内。臍帯血pHは安全域。分娩第1期の1時間での平均投与量は0.38μg/kg、最大投与量平均0.7μg/kg Discussion今回は、持続なしのステップワイズ法が有用である。分娩第2期の鎮痛が十分ではない(私はここが気に入りません)。胎児の連続的モニタリングは必要である。1対1の助産世話は義務である。麻酔専門医がすぐ駆けつけられるべきである。

などとしています。

 施設の現状として、硬膜外麻酔による無(和)痛分娩のリクエストに答えられず、それ以外の方法も検討していますが、remi-IV-PCA の施設はあるのでしょうか。数年前から言われていますが身近で聞いた事がありません。

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