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医局カンファランス

(抄)デクスメデトミジンの区域麻酔における補助効果

報告者:柿沼

カテゴリ : 本院 抄読会

Facilitatory effects of perineural dexmedetomidine on neuraxial and peripheral nerve block : a systematic review and meta-analysis  F. W. Abdallah, R. Brull  British Journal of Anaesthesia 110 (6): 915-25 (2013)

区域麻酔においてデクスメデトミジンを添加した群と局所麻酔単独群での、鎮痛と副作用を比較した研究(RCT)のメタアナライシス 。

脊椎くも膜下麻酔におけるデクスメデトミジンの添加では、感覚神経遮断は有意に延長した。腕神経叢ブロックではデクスメデトミジン添加群で延長したが、統計学的有意差はなかった。運動神経遮断は、両群共に有意に延長した。副作用としては腕神経叢ブロックでは徐脈、低血圧が7%に出現したが呼吸抑制は報告されなかった。機序としては明確ではないとしてるが、他文献でデクスメデトミジンがα2アドレナリン受容体作動薬であるため、C線維や脊髄後角の存在するα2受容体に作用するのではないかと言われている。

結論としては、デクスメデトミジンは、有用な潜在的局所麻酔補助薬であるとしている。リミテーションは、FDAで承認されていない使用法故に、これらの研究が限られた国のみ(エジプト、インド、ヨルダン、レバノン、トルコ)であるということである。デクスメデトミジンは、投与量によって動物実験では神経障害(白質の傷害の可能性)が指摘されているようであるが、結果では最初の鎮痛剤投与までの時間が5〜6時間延長するようであるので、もし安全であるのなら使用したいものである。

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