東京医科大学

麻酔科学分野 麻酔を受けられる患者さまへ

Staff Room

医局カンファランス

輸液管理の3要素

報告者:石崎

カテゴリ : 本院 勉強会

低侵襲モニターが進歩し、HES130/0.4の発売を控えた状況の中、各学会では制限輸液や目標指向型輸液などのキーワードが飛び交っています。そこで、今回の勉強会では、話題性がないだけに講演テーマにならないものの、輸液管理を行う上で必ず理解しておかなければならない要素としての「Vessel Tone」について、まとめてみました。

(資料は、スタッフページからDLできます。)

周術期の輸液・循環管理で考えることは、
1.体全体の水分バランスを適切に
2.循環血液量を適切に
3.血管トーヌスを適切に
の3つ。

ほとんど全ての前負荷のモニタリングは、循環血液量だけでなく血管トーヌスや心機能も反映してしまいます。そこで先ず、モニタリングに頼らない循環血液量の評価法を考えてみました。
次に、その方法とモニタリング数値の比較から血管トーヌスの状況を推測し、さらに、それまでの臨床経過を加味していくことで、3番目にあげた血管トーヌスの適正化を目指します。臨床経過としては、鎮静、鎮痛、硬膜外、血管作動薬、体温管理、様々な血管反応などがあり、これらを全て同時に考えることが大切です。

考えて見れば、私が研修医の頃から教わってきたことばかりです。モニタリングが進歩した現代においても、先人達の臨床的な勘がいかに大切なことなのかが判ります。モニタリングはそれを再確認する手段でしかないようにも思えますね。今の段階では、モニターだけを目標、Goalにしてはいけません。


一覧へ戻る