東京医科大学

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医局カンファランス

短時間手術の麻酔 GOS vs OPR

報告者:鈴木 

カテゴリ : 本院 抄読会

今日の抄読会は後期研修1年目の鈴木先生。短時間手術の麻酔におけるGOSとOPRの有用性を比較検討したところ、筋弛緩を使わないLMA挿入について、GOSの方が所要時間が短かったという報告でした。その理由として、OPR群の3例で筋硬直が生じたこと、循環変動を抑えるために慎重に導入したこと、などが挙げられていました。

GOS導入にはDeep Breath InductionとTidal Volume Inductionとがあります。また、吸入麻酔ですから、入眠後の呼吸が自発呼吸なのか、用手的アシスト換気なのかも、LMA挿入までの時間に大きく影響しそうです。この研究では、GOS群でもプロポフォールを使用しているようなので、きっと、GOSの開始はプロポフォール入眠後からで、入眠後は用手換気したのでしょう。ところで、セボフルラン濃度は何%だったのでしょうか。麻酔回路を高濃度セボフルランであらかじめ満たしていたのか、それとも入眠後に気化器のダイアルを回したのか、ということも気になります。

いろいろとLimitationが多い文献ですが、単純に吸入麻酔導入をSlow Induction、静脈麻酔導入をRapid Inductionと分類していた昔のイメージが、必ずしも正しくないということは、頷けます。さらに想像を深めると、気管挿管までの所要時間だとしたら、どういう結果になっていたのでしょうか?その場合は静脈麻酔の勝ち? 麻酔の導入をあれこれ考えて実践してみるのに、良いきっかけになる文献ですね。(石崎)

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