東京医科大学

麻酔科学分野 麻酔を受けられる患者さまへ

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医局カンファランス

小児のDAMアルゴリズム

報告者:安藤

カテゴリ : 本院 抄読会

 今朝の抄読会は、安藤先生。2010年のPediatric Anesthesiaから、小児のDAMアルゴリズムに関する論文を紹介して頂きました。このアルゴリズムは、シンプルで具体的、実際的なアルゴリズムとして提唱されたDASのアルゴリズムの、小児版という位置づけだそうです。

 シンプルを目指した小児版DASアルゴリズムで、タイトルも「予期せぬ・・・」ですから仕方ありませんが、予期された場合の管理は含まれておらず、エスラックスやスガマデックスの使用や、具体的な吸入麻酔薬や鎮静薬の投与法などを示すガイドラインにもなっていません。この点は、ASA2003やDAS2004の成人DAMアルゴリズムが抱えている課題と同じですが、むしろ、これらの薬剤の使用法がアルゴリズムになかなか入ってこないのは、これらが、低酸素の回避を確実に保障してくれないことの裏返しと見るべきでしょう。

 CVCIはいつも同じ状況で起きるわけではありませんし、どのデバイスを使い慣れているのかによっても、戦略は変わってきます。しかし、ひとたびCVCIに陥れば「待った」は効きませんから、このような文献を沢山読んで、普段からイメージトレーニングを積んでおく事はとても大切です。

NASAの宇宙飛行士の言葉です。
「宇宙にいる時に発生したトラブルは全て、既に地球で経験したものばかりだった。
 そのため、まるで、シミュレーション訓練をしているかのような錯覚さえ覚えた。」
ここまで行けば、達人です。

 小児用DAMカートは是非作りましょう。今、そのためにデバイスの選定作業をしているところです。小児用DAMカートは揃えるだけではダメで、実際に使えなければいけません。それも、先ずは成人からです。デモ中のグライドスコープもその布石ですから、皆さん、積極的に使ってみて下さい。(石崎)


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