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ご挨拶

主任教授

 みなさん、こんにちは。令和の新時代の幕が開けてから一年が過ぎました。今年は、私の教授在任期間15年のタイムラインとして考えておりました、ホップ・ステップ・ジャンプの"ホップ"の最終年となります。この5年間にその後10年の"種"を撒くことが重要ですが、頭で考えるようには実際うまくいかないことを痛感したこれまでの4年間でした。ただ、最も誇れることはこの4年間で33人もの消化器内科の仲間(入局者)を増やせたことです。教育面では後期研修医の実技や研究発表指導のためのチューター制を作りました。そのおかげで後期研修医2年目までに国内外の発表と論文作成は達成できたと考えております。また何よりもアリゾナのメイヨークリニックの治療消化器内視鏡ディレクターの深見悟生教授のもとに当科の3人の後期研修医を教育出張させることができたのはとても大きなことでした。さらに、当科の10年後を見据えて、この1年も"種"を撒き続けたいと思います。

 昨年の今頃は新大学病院への移転作業で副院長としても科長としても大変な状況でしたが、多くの人の協力のもと大きな問題もなく無事に7月1日にオープンすることができました。病床数は1015床から904床とダウンサイジングしましたが、9階に空中庭園を有し、充実した数の個室と個室感のある4人部屋を有する新大学病院に生まれ変わりました。幸いなことに新病院開院から現在まで当科は入院外来を問わず科別新患者数、医療収入においても引き続き病院トップクラスを維持できております。これらは医局員全員の多大な努力のおかげであることはもちろんのことではありますが、メディカルスタッフ、そして同門会や病診・病病連携の皆様のご協力の賜物と深く感謝しております。引き続き、皆様に満足いただける病院を目指して努力し続けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 今年度も新しいスタッフとして後期研修医8名の新入医局員を迎えることができました。これにより、消化器内科医局員は現在総勢 84人(院内55人、院外29人、客員、兼任は除く)となり、院内最大の医局となっております。人は医局の造る礎であり、この若い力でこれからの医局を発展させていってもらえればと思っています。

 ところで今年度の話の中に「国難」(むしろ「地球難」でしょうか)とも言われている、"新型コロナウイルス感染症(COVID-19)"は避けて通ることはできません。当院でもCOVID-19の軽症・中等症患者さんの診療のために17階のワンフロアーをコロナ病棟とし、内科系診療科から17階病棟を護る"東医ガーディアンズ"(ちなみに私の案が採択されこの名前になりました)に、消化器内科から最も多くの医局員を出させていただきました。とても頑張ってくれている彼らは私たちの誇りです。一方、外科系診療科はもっとも深刻な重症患者さんを麻酔科ER医と共に素晴らしい診療をしてくれました。本当に彼らに感謝です。COVID-19における副院長としての私の仕事の一つは新宿区のPCRスクリーニング体制を確立することでした。「新宿モデル」と呼ばれるこの体制は、国立国際研究センターを中心として新宿区内の大学病院や総合病院が国立国際研究センター内に作られた4つの外来ブースに医師、看護師、臨床検査技師、事務員等のスタッフを派遣するというもので、ニュースでも紹介されました。また、「コロナを病院に入れない」ことをコンセプトに、入院前PCRシステムも院内に設置しました。現在、各診療科、看護師、技師、事務職員の協力のもと順調に行われており、6/1までに600人以上の患者さんに行われていますが、幸いに陽性者は一人もいない状況で安全安心な入院診療を行なっております。こうしたPCR検査時には常に感染のリスクが伴うものですが、当院独自に"東医防護板"(写真1)を作製し安全に検査を施行しております。また、当科が行なっているスクリーニング目的の上部下部消化管内視鏡は「不要不急」のため学会からも中止の要請がありましたが、出血等の緊急内視鏡は行わざるをえませんでした。しかし、その際にも内視鏡手技に伴う感染リスクは避けられないため、独自に"内視鏡専用東医ボックス"を作製し、実際に使用しております。これは優れたシステムとして英文誌に掲載されました(写真2)。このような未曾有の事態は、チームとしての消化器内科をより強固にしてくれたばかりでなく、大学そして大学病院全体を"One Team"に纏めてくれました。COVID-19は未だ収束しておりませんが、これをネガディブに捉えるのではなく、ポジティブに受け止めてこの1年間の医局運営を行なっていきたいと思います。

 さて、5年目の今年も引き続き消化器領域各分野の臨床的な充実を目指し、患者さんに"愛される"そして"信頼される" 医師育成を行なっていきます。今年は炎症性腸疾患の最先端研究のために、札幌医科大学消化器内科の仲瀬裕志教授の教室に医局員が国内留学しております。また同様に炎症性腸疾患の最先端診療のためにJCHO東京山手メディカルセンターにも人材を派遣しております。今後も若手が希望する国内国外留学を積極的に進めて行きたいと思います。

 当病院は特定機能病院であり、各臓器グループにおいて通常診療はもとより最先端治療も行っております。肝臓グループでは日本で初めて肝癌に対するナノナイフ治療(不可逆電気穿孔法:Irreversible Electroporation: IRE)が先進医療として認められ現在治療を開始しています。胆膵グループでは当科で開発した悪性十二指腸閉塞に対する超音波内視鏡下胃空腸吻合術が東京医科大学の特定臨床研究第一号に承認され、引き続きこの治療法を普及させていきたいと思います。消化管グループでは当科が東京で2番目の経口内視鏡的筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy:POEM)の認定施設となりESDに加えてアカラシアの内視鏡治療が可能になりました。

 昨年は新病院の新しい内視鏡センターで第2回東京メトロポリタン国際内視鏡ライブコース(東京メトロポリタンライブ)を開催し、成功裡に終わることができました。これは素晴らしいファカルティーの先生方のお陰であることはもちろんですが、何よりも当科医局員全員のチームワークとメディカルスタッフの尽力の賜物であり、改めて深く感謝したいと思います。今回のサマリービデオも消化器内科のホームページのリンクから視聴できますので是非ご覧ください。第3回東京メトロポリタンライブは、9月21日、22日の2日間で開催予定でしたが、先に述べましたCOVID-19のために中止にせざるを得ずとても残念に思います。ただ、来年はすでに9月19日(日)、20日(月)の2日間で今年と同じファカルティーによるライブが行われますので是非ご参加いただければ幸いです。

 毎年書かせていただいておりますが、大学病院に勤務する多くの医師にとって病院や医局で過ごす時間は、おそらく家庭にいる時間よりも長いと思います。当科では人生においてその大切な時間を、"より充実して"そして"より楽しく"過ごしてもらうことをモットーとしております。最終的には、患者さんも医師もメディカルスタッフもWin-Win-Winでいられるような医局造りを引き続き目指していきたいと思います。

 最後になりましたが、今年も諸先輩方により築きあげられた当教室の伝統を引き継ぎ、消化器内科学の発展と地域医療に貢献できる人材育成、そして魅力ある医局を目指し、引き続き精一杯努力をしてまいりたいと思います。今年度もどうぞご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

2020年6月
東京医科大学
臨床医学系 消化器内科学分野 主任教授
糸井 隆夫

 

写真1:東医防護板

 

写真2:内視鏡専用東医ボックス(Digestive Endoscopy 2020 [Online ahead of print]に掲載)