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消化管グループは食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を含む良性・悪性疾患を広く対象とし、診断・治療を行っています。
上部消化管疾患では、胃食道逆流症、食道アカラシアや機能性ディスペプシアのような機能性疾患に対する診断・治療も行っています。食道・胃・十二指腸における潰瘍やがん、またそれらと関連があると考えるヘリコバクターピロリ感染症に対する治療も行っております。また、外科とのコラボレーション治療である粘膜下腫瘍などに対する治療法である腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)も行なっています。下部消化管疾患では炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)や腫瘍性疾患(ポリープ、早期癌)に対する内視鏡診断・治療を行っております。それぞれの進行がんに対する標準的化学療法、がんに伴う症状に対する治療や、地域病院との連携を行いながら緩和ケアへの移行のサポートを行っています。
近年、小腸疾患においても内視鏡による観察が可能になり、当院でも小腸出血が疑われる患者さんに対して、カプセル内視鏡による小腸内視鏡検査を行っています。より詳細な観察が必要な場合は経口・経肛門的挿入による小腸内視鏡検査を行っています。
●食道アカラシア
(1)診断
食物がのどを通りにくい、嘔吐するなどの症状がある場合、食道アカラシアを疑い検査を行います。食道アカラシアとは下部食道活躍部の弛緩不全と食道全体の蠕動運動障害を認める原因不明の食道運動機能障害です。食道造影検査(バリウムによる透視検査、上部消化管内視鏡、食道内圧検査(食道内の圧力測定)で診断します。
(2)治療 (Per Oral Endoscopic Myotomy : POEM)
薬物療法やバルーン拡張などの治療では症状の劇的な改善は少ないとされ、奏功しない場合には経口内視鏡治療(POEM)や手術療法(Heller-Dor手術)を行います。POEMは安全性と低侵襲が認められた標準内視鏡治療です。食道筋層をイラストのように切開していくことで食道運動機能改善へと繋がります。低侵襲でありながら治療効果は手術と同等であるとされています。そのため、食事摂取も可能となり日常生活においてQOLの向上に繋がります。
●食道がん
(1)診断
食道がんは世界で8番目に多い悪性腫瘍で死亡率は6番目に高く、ガン関連死の3.2%を占めています。そのため、いかに早期発見・早期治療するかが重要です。近年、検診内視鏡の普及に伴い食道がんを早期に発見することができるようになってきました。また、内視鏡技術の向上により、画像強調内視鏡観察法(image-enhanced endoscopy;IEE)の一つであるNarrow band imaging (NBI) 観察を行い、深達度診断(T因子)を行うことで術前診断を行い、内視鏡治療の適応を判断し治療を行っております。
(2)内視鏡治療
ガイドラインに準じ、絶対適応である深達度粘膜上皮(EP)/粘膜固有層(LPM)、相対適応病変である粘膜筋層/粘膜下層(MM/SM1)までの病変を内視鏡的粘膜切除術(EMR) /内視鏡的粘膜下層切除術 (ESD) で治療をします。
●胃がん
(1)診断
胃がんの存在診断、質的診断(生検による組織診断)、深達度診断(T因子)、IEEであるNBIを用い、範囲診断などを行います。特に内視鏡的切除の適応となる早期胃がんの存在診断や範囲診断、深達度診断は、治療方針の決定において重要です。
(2)内視鏡的切除
切除方法としては、EMRと2006年4月より保険収載されたESDがあります。2020年に早期胃がんの内視鏡治療ガイドラインが変更され、2014年に適応拡大因子とされた病変全てがリンパ節転移の危険性が1%未満とされる絶対適応病変に変更されました。ESDの普及によって、ESDであれば外科手術と同等の根治性が期待できるとしてガイドラインに準じて2cm以上の大きな病変に対しても内視鏡での切除が行われています。
●大腸腫瘍(腺腫・早期がん)
(1)診断
通常観察に加えて、超音波内視鏡や拡大内視鏡による拡大観察(pit pattern診断)を加味して病変の質的・量的(深達度)診断を行っています。最近では、NBIシステムを用いた血管構造の詳細な観察による深達度診断もpit pattern診断と併せて行っています。
(2)内視鏡的切除
腺腫およびM・SM浅層までに留まる早期がんは、内視鏡治療の適応病変です。摘除方法としては、病変の大きさと形態によりホットバイオプシー(HB)・ポリペクトミー(PO)・EMR・ESDが適切に施行されています。ESDに関しては2012年4月より大腸腫瘍(腺腫・癌)に対しても保険収載され、当院でも積極的に行っています。
内視鏡治療を行う全ての症例を術前術後カンファレンスにて検討しております。
●炎症性腸疾患 (Inflammatory bowel disease, IBD)
近年、原因不明の慢性炎症性疾患である炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎・クローン病などが増加の一途を辿っております。具体的な治療目標を設定したtreat to target (T2T) に基づく治療戦略を掲げ、長期予後を目指しております。T2T治療選択のための便バイオマーカーであるカルプロテクチンや便潜血定量法、カプセル内視鏡や小腸内視鏡による小腸病変のモニタリングも行なっております。また、IBDに対する分子標的治療薬の目覚ましい開発がなされており、IBDセンターを立ち上げ治療を行なっています。
東京医科大学 消化器内科
電話 : 03-3342-6111(代表) 内線 5913