睡眠呼吸障害研究グループ

グループの概要

睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)は、いびきや日中の眠気を引き起こし社会生活に支障をきたすのみならず、高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病と深く関連し、冠動脈疾患、脳血管障害、心不全、心房細動などのさまざまな循環器疾患の発症や増悪に影響していることが広く認知されてきました。当グループは、これらの関係にいち早く注目し、循環器疾患の診療に取り入れてきました。
われわれは循環器内科病棟内に専用の睡眠呼吸障害検査室を有し、検査技師の終夜監視による睡眠ポリグラフ検査 (polysomnography: PSG)を年間約400例実施しています。件数、質ともに国内有数の実績を誇っています。またSASに対する的確な診断と最適な治療を提供するため、循環器内科が中心となり耳鼻咽喉科、歯科口腔外科や検査技師らと連携してSASチームを構成し、診療にあたっていることも、他施設にはない大きな特徴です。

スタッフ

高田 佳史(准教授、医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医)
椎名 一紀(講師、医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、 日本睡眠学会認定医)
山口 済助(教、医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医)

認定施設

日本睡眠学会専門医療機関

診療内容

外来通院中の入院中の循環器疾患の患者さんはもちろんのこと、他科から依頼された患者さんに対して積極的に簡易検査を行いスクリーニングしています。
PSG検査を行った患者さんは、循環器内科、耳鼻科、歯科口腔外科、腎臓内科、検査技師などの多職種で毎週行われるカンファレンスにおいて、個々の患者さんの臨床背景を踏まえたうえでの治療方針の決定が行われます。重症のSAS患者では、持続性陽圧(continuous positive airway pressure: CPAP) 治療や、サーボ制御圧感知型人工呼吸器(adaptive servo ventilation: ASV) などの陽圧呼吸治療を積極的に適応させ、心不全をはじめとした循環器疾患の一次予防、二次予防を図っています。また、SAS専門外来(初診、CPAP外来)も設置しております。
具体的な診療内容や専門外来については下記ページをご覧ください。

研究活動

独自のデータベースを作成し、教室内の他の研究グループと連携し循環器疾患とSASの関わりについての横断的研究や介入研究を行っています。また、国内の陽圧呼吸治療に関する多施設共同研究に積極的に参加し、睡眠呼吸障害を伴う慢性心不全患者を対象にしたADVENT-HF試験などの国際的な多施設共同研究にも参加しています。研究結果は、国内外の学会において積極的に発表し論文作成を行っています。特にわれわれが独自に提唱した間歇的低酸素の重症度指標は、従来の睡眠呼吸障害指標に比較して心血管リスクの評価に有用であり、国内外から注目を集めています。また、日本循環器学会の睡眠呼吸障害の診療ガイドラインの作成にも携わるなど、循環器内科主導で睡眠呼吸障害の診療と研究を行っているグループとして認知されています。

研究実績(論文)

【2018年】

1. Role of dental sleep medicine in management of patients with obstructive sleep apnea disorders using a team approach.
Nakai T, Matsuo A, Takata Y, Usui Y, Kitamura K, Chikazu D.
Acta Odontol Scand. 2018;76:605-611.

【2017年】

1. 高田 佳史 CPAP継続率向上のための工夫 循環器内科 2017;82(5): 504-508.
2. 高田 佳史 心不全に合併する睡眠呼吸障害の診断と治療 新薬と臨牀 2017;66(12): 84-89.
3. 高田 佳史 睡眠時呼吸障害と循環器疾患(解説) 専門医を目指すケース、メソッド・アプローチ 循環器疾患 第3版
4. 庄司 香津子,高田 佳史 循環器疾患患者に対するCPAPタイトレーション 睡眠医療 2017;11(2): 305-311.

【2016年】

1. Yamaguchi T, Takata Y, Usui Y, Asanuma R, Nishihata Y, Kato K, Shiina K, Yamashina A. Nocturnal Intermittent Hypoxia Is Associated With Left Ventricular Hypertrophy in Middle-Aged Men With Hypertension and Obstructive Sleep Apnea. Am J Hypertens. 2016;29:372-8.
2. Shiina K, Tomiyama H, Takata Y, Matsumoto C, Odaira M, Kato K, Yamaguchi T, Usui Y, Yamashina A.  Obstructive Sleep Apnea as Possible Causal Factor for Visit-to-Visit Blood Pressure Variability. Circ J. 2016;80:1787-94.
3. 高田 佳史,山科 章 心臓病学研究の進歩 循環器専門医 2016;24(2): 315-319.
4. 高田 佳史 睡眠呼吸障害と心疾患 Medical Rehabilitation 2016;203: 144-150.
5. 山口 済,高田 佳史 睡眠時無呼吸の診断機器の進歩 Heart View 2016;20(3): 214-218.
6. 山口 済,高田 佳史 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断 睡眠医療 2016;10(3): 349-354.
7. 浅沼 亮子,高田 佳史 現行の携帯型睡眠検査装置および新しい携帯型睡眠呼吸障害評価装置における問題点―主に循環器領域における経験から― 睡眠医療 2016;10: 599-605.

【2015年】

1. Nishihata Y, Takata Y, Usui Y, Kato K, Yamaguchi T, Shiina K, Yamashina A. Continuous positive airway pressure treatment improves cardiovascular outcomes in elderly patients with cardiovascular disease and obstructive sleep apnea. Heart Vessels. 2015;30:61-9
2. Imai Y, Tanaka N, Usui Y, Takahashi N, Kurohane S, Takei Y, Takata Y, Yamashina A. Severe obstructive sleep apnea increases left atrial volume independently of left ventricular diastolic impairment. Sleep Breath. 2015;19:1249-55
3. 高田 佳史 睡眠時無呼吸症候群;ガイドライン外来診療 2015(編:泉 孝英*)日経メディカル開発,452-455
4. 高田 佳史,山科 章 CPAP治療と降圧効果、問題点 血圧 2015;22(5): 384-388.
5. 高田 佳史 心不全に合併する睡眠呼吸障害 Medicina 2015;52(7別冊): 1098-1102.
6. 高田 佳史 冠動脈疾患の発症・進展と閉塞性睡眠時無呼吸 医学のあゆみ 2015;254(6,7): 485-489.
7. 高田 佳史 心不全とSAS(CSASとの関連を中心に)呼吸器内科 2015;28(3): 191-197.
8. 臼井 靖博,高田 佳史 肥満と睡眠時無呼吸症候群 循環器内科 2015;77(6): 548-553.
9. 山口 済,高田 佳史 閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸 循環器内科 2015;77(2): 119-124.

当グループでの研修

循環器内科主導で睡眠障害や呼吸デバイスの診療や研究を行っている研究グループです。循環器領域を幅広く研修するなかで、心不全をはじめとするさまざまな循環器疾患と睡眠との関わりについて興味があれば、いっしょに勉強しましょう。循環器専門医を取得し、睡眠をサブスペシャリティーとするのも悪くないと思います。ご連絡をお待ちしています。

【連絡先】:高田 佳史(たかた よしふみ)e-mail: takatamd@gb3.so-net.ne.jp

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