不整脈グループ(不整脈センター)

グループの概要

当グループの活動内容は以下の3つに要約されます。
1.不整脈の診断・治療
2.不整脈診療の教育・研修
3.不整脈のメカニズム解明、新たな治療に関する臨床研究

診療と研修を独立して行う「不整脈センター」として業務にあたっており、専門外来も行っております。

「不整脈先端医療寄付講座」という独立した講座を設け、不整脈疾患のメカニズムの解明と新たな治療法の研究開発を行っています。

スタッフ

里見 和浩(准教授、不整脈センターセンター長、医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本不整脈心電学会専門医)
矢崎 義直(助教、不整脈センター副センター長、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本不整脈日本心電学会認定専門医、植込み型除細動器[ICD]/ペーシングによる心不全治療[CRT]研修終了医、着用型自動除細動器[WCD]研修終了医、完全皮下植込み型除細動器[S-ICD]研修終了医)
齋藤 友紀雄(兼任助教、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本不整脈心電学会認定専門医、日本医師会認定産業医)
寺澤 無量(ベルギー Vrije Universiteit Brussel留学中)
嘉澤 脩一郎(臨床研究医)
髙田 康之(臨床研究医)
稲垣 夏子(遺伝子診療センター講師、不整脈遺伝カウンセリング担当、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、臨床遺伝専門医)

認定施設

ペースメーカ移植術認定施設
埋込型除細動器移植術認定施設
両心室ペースメーカ移植術認定施設
両心室ペーシング機能付き埋込型除細動器移植術認定施設
経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術実施施設
HeartLight(内視鏡アブレーションシステム)実施施設
Asia Pacific Heart Rhythm Society認定研修施設(図1)

図1

図1:アジア各国からの不整脈診療の研修の受け入れを評価され、APHRS(Asia Pacific Heart Rhythm Society)認定研修施設に認定されました。

診療内容

A. 頻脈性不整脈の治療

1) 薬物治療
頻脈性不整脈の治療は、薬物治療と非薬物治療に分けられます。薬物療法は、外来で簡単に始められますが、高齢者や合併症をもった患者さんにおいては、薬剤性QT延長に伴う多形性心室心拍(TdP)など、危険な副作用が起こることもあります(図2)。症状や心電図の変化、薬物血中濃度をモニタリングして、投与量を決定する必要性があります。

図2

図2:抗不整脈薬によるQT延長とTorsades de Pointes

2)カテーテルアブレーション
近年の技術の進歩により、ほとんどの上室性頻拍はカテーテルアブレーションで根治が可能になってきました。当院では、三次元マッピング装置(CARTO、Ensite Velocity、Rhythmia)を駆使し、複雑な不整脈の診断と治療を行っています(図3~5)。特に当グループは心室性不整脈の治療を得意としています。心室頻拍や心室細動は、生命に関わる不整脈であり、速やかな診断と治療が必要です。従来ではアプローチが困難であった部位からの心室頻拍、心室細動であっても、心外膜アブレーション、外科的アブレーションなどを駆使して治療を行っています。緊急性が必要な状況でも、心臓血管外科と共同で治療に当たっています(図6, 7)。

図3

図3:CARTOによる肺静脈隔離術
3次元マッピングにより、解剖学的位置情報の把握が容易になった。コンタクトフォースカテーテルは、カテーテル先端の組織へのコンタクトを測定し、安全かつ有効な焼灼を可能にする

図4

図4:Ensiteによる心房頻拍の回路
多極電極カテーテルによる電位取得、各電極の電位情報を取捨選択し、適切な情報と自動的にあるAutomapにより、頻脈に対するマッピングが迅速かつ正確に行えるようになった。

図5

図5:Rhythmiaによる肺静脈伝導部位の同
Rhythmiaによる心房粗動中の右房興奮パターンを示す。

図6

図6:心外膜アプローチによるBrugada症候群の治療
心室細動発作を繰り返していたBrugada症候群に対するカテーテルアブレーション。心尖部穿刺による心外膜アプローチを用いて、右室流出路の心外膜側の異常電位を指標にアブレーションを行った。心室細動発作は抑制され、Brugada型心電図も正常化した。 (大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座 篠原徹二先生との共同研究による)

図7

図7:心尖部血栓を有する症例に対する血栓除去と冷凍凝固術
心室頻拍を繰り返していたが、左室内血栓の存在のためカテーテルアブレーションは禁忌と考えられた症例。外科的に心尖部血栓を除去し、さらに冷凍凝固法を用いて心室頻拍のアブレーションを行った。

3)デバイス治療
心室頻拍/心室細動はカテーテルアブレーションのみで根治することが困難なこともあり、また再発が生命を奪うこともまれではありません。そのような場合は植込み型除細動器(ICD)、除細動機能付両心室ペーシング(CRT-D)の移植が必要です。最近では、皮下植込み型除細動器(S-ICD)や着用型除細動器(WCD)といったより低侵襲なデバイスも使用可能になっており、患者さんごとに検討し、適応を判断しています(図8)。また、低心機能の心不全患者さんに生じる上記不整脈は生命予後に関わります。当グループは心不全グループと共同で治療に当たり、CRT-D導入や、植え込み型デバイスによる心不全の遠隔モニタリングを積極的に行っています(図8, 9)。

図8

図8:CRT-Dを植え込み例

図9

図9:遠隔モニタリングで心不全の増悪を認めた例
胸廓インピーダンスを用いたOptiVolの上昇により、心不全の増悪が推測できた。

B.徐脈性不整脈の治療

徐脈性不整脈では、薬物治療やアブレーション治療はあまり有効ではなく、デバイス治療が中心になります。従来は静脈リードを用いたペースメーカを用いていましたが、最近ではリードレスメースメーカが使用できるようになりました。すべての患者さんにおいて使用できる訳ではありませんが、体への負担も軽く、入院期間も短くなりました(図10)。

図10

図10: 従来型ペースメーカとリードレスペースメーカ
経静脈的ペースメーカリードの断線のため新規植え込みが必要となり、リードレスペースメーカを植え込んだ症例

研究活動

前述したように「不整脈先端医療寄付講座」という独立した講座を設けており、不整脈疾患のメカニズムの解明と新たな治療法の研究開発を行っています。

研究実績(論文、書籍)

【2017年】

1. 金山純二、里見 和浩 発作性上室性頻拍・心房粗動、カテーテルアブレーションのためのチャートで学ぶトラブルシューティング メディカルビュー 2017
2. 里見 和浩 房室ブロック、カテーテルアブレーションのためのチャートで学ぶトラブルシューティング メディカルビュー 2017
3. 里見 和浩 治療困難な心房粗動への対処法、カテーテルアブレーションのためのチャートで学ぶトラブルシューティング メディカルビュー 2017
4. 里見 和浩 不整脈疾患での心電図の読み方:Wide QRS、Heart View増刊号 2017;21: 91-95.
5. 里見 和浩 責任編集 不整脈-その常識は正しいか?? 救急・集中治療 2017; 29

【2016年】

1. 里見 和浩 三次元マッピング法 CARTOシステムについて教えてください、超・EPS・入門、南江堂 2016
2. 里見 和浩 不整脈の管理-心房細動、「新心臓血管外科管理ガイドブック」、南江堂 2016
3. 里見 和浩 不整脈の管理-心房頻拍・心室頻拍、「新心臓血管外科管理ガイドブック」、南江堂 2016
4. Andreas Metzner, Kazuhiro Satomi, Karl-Heiz Kuck, Feifan Ouyang. Circumferential ablation with PV isolation Guided by Lasso Catheter. In: Steinberg JS, Jais P, Calkins H. ed. Practical Guide to Catheter Ablation of Atrial Fibrillation 2nd ed. West Sussex: Wiley Blackwell, 2016.
5. 里見 和浩 二次性心室頻拍のマッピング、心室頻拍のすべて 南江堂 2016
6. 里見 和浩 不整脈原性右室心筋症、心室頻拍のすべて 南江堂 2016
7. 里見 和浩 narrow QRS 頻拍の機序は何か? エキスパートはここを見る 心電図読み方の極意 南山堂 2016
8. 里見 和浩 新しいガイドラインに基づいた抗不整脈薬の選択 脳梗塞と心房細動 2016; 3: 9-15.
9. 寺澤 無量、里見 和浩 抗不整脈薬、新薬展望 2016; 52: S1.
10. 齋藤 友紀雄、里見 和浩 Wide QRS tachycardia、これは知っておきたい循環管理 救急・集中治療 2016
11. 金山 純二、里見 和浩 心室頻拍、これは知っておきたい循環管理 救急・集中治療 2016; 28: e106-112.
12. 里見 和浩 植込み型除細動器,ペースメーカの周術期の取扱い:誤作動と感染の予防、Hospitalist 2016; 4:

【2015年】

1. Hisaki Makimoto, Ikutaro Nakajima, Koji Miyamoto, Yuko Yamada, Hideo Okamura, Takashi Noda, Takeshi Aiba, Shiro Kamakura, Kengo Kusano, Wataru Shimizu, Kazuhiro Satomi. Clinical Impact of Mapping Strategies for Treatment of Ventricular Tachycardias in Patients with Structural Heart Disease. PACE 2015; 38:630?640.
2. Hideharu Okamatsu, Takahiro Ohara, Hideaki Kanzaki, Ikutaro Nakajima, Koji Miyamoto, Hideo Okamura, Takashi Noda, Takeshi Aiba, Kengo Kusano, Shiro Kamakura, Wataru Shimizu, Kazuhiro Satomi. Impact of left ventricular diastolic dysfunction on outcome of catheter ablation for atrial fibrillation in patients with hypertrophic cardiomyopathy. Circ J. 2015;792:419-24
3. 川上 大志、里見 和浩、石橋 耕平、中島 育太郎、宮本 康二、山田 優子、岡村 英夫、野田 崇、相庭 武司、鎌倉 史郎、草野 研吾 発作性心房細動患者における再肺静脈隔離後の再発因子の検討 心電図, 2015; 35: 15-23.
4. Kazuhiro Satomi. Incidental tumor or ablation-promoted oncogenesis? J cardiol Cases 2015; 12: 30-31.
5. Hideaki Kanzaki, Kazuhiro Satomi, Takashi Noda, Wataru Shimizu, Shiro Kamakura, Yasuhi Kitaura, Nobukazu Ishizaka, Masahumi Kitakaze. Comparison of the acute effects of right ventricular apical pacing and biventricular pacing in patients with heart failure. Intern Med. 2015;54:1329-35.
6. 里見 和浩 心室頻拍を合併しやすい心疾患は? 「不整脈クリニカルクエスチョン200」、診断と科学社、2015
7. 里見 和浩 心室頻拍が上室性頻拍に比べて緊急性が高い理由は? 「不整脈クリニカルクエスチョン200」、診断と科学社、2015
8. 里見 和浩 心室頻拍発作を停止させる治療法は? 「不整脈クリニカルクエスチョン200」、診断と科学社、2015
9. 里見 和浩 心室性不整脈:治療抵抗性、「循環器急性期診療」、MEDSI、2015
10. 里見 和浩 心房頻拍(巣状興奮型心房頻拍)、「かくだんにうまくいくカテーテルアブレーションの基本とコツ」、用土社、2015
11. 里見 和浩 高齢者における心房細動アブレーション 治療 2015; 4: 526-530.

当グループでの研修

当グループは、学外からも多くの研修希望の医療従事者を受け入れています。また国外からの研修も積極的に受け入れています。
2年間でメインの術者として50例程度のアブレーションおよび50例程度のデバイス治療を経験することを目標にしています。実際、当グループの卒業生達が2年間の研修コースを修了したのち、自身の病院で不整脈治療の中心として活躍しています。
また、国内外における学会発表、論文作成の指導まで丁寧に行います。さらに国外留学のサポートも可能です。当グループでの研修にご興味がある方はいつでもご連絡下さい(担当 里見和浩 E-mail: tmuarrhythmia@gmail.com)。
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