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抄読会 2018/11/26

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、認知症入院患者における睡眠薬の使用と骨折の関連性を検討した論文が取り上げられました。日本国内の1057の病院の入院患者のデータベースを使用し、2012年4月から2013年3月までの12ヶ月間に入院していた50歳以上の認知症患者のうち、817人の骨折群と3158人の対照群が解析の対象となりました。入院中の骨折を目的変数とし、緊急入院か否か、ADLスコア、チャールソン併存疾患指数(CCI)、17種の薬剤を説明変数と多重ロジスティック回帰分析の結果、短時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬、超短時間作用型非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、ヒドロキシジン、リスペリドンとペロスピロンの使用が、入院中の骨折と有意な関連性を示しました。他方で、メラトニン受容体作動薬と漢方薬は骨折と有意な関連性が認められませんでした。以上の結果から作用時間が短い睡眠薬が骨折のリスクを高める可能性があることが示唆されました。限界点として、フレイルを伴っている患者に対しては作用時間が長い睡眠薬の処方が避けられている可能性がある点、DPCデータをもとに解析されたものであり、診断が正確でない可能性がある点、薬を投与した日時及び骨折の日時が不明である点、骨折が睡眠薬の有害事象であるか、せん妄や不眠などの患者の状態の悪さによるものであるかは区別出来ない点、以前の転倒に関しての情報がないこと点が限界点として挙げられました。
本論文の抄読を受けて、睡眠薬の使用による店頭への影響を純粋にみるためには抗精神病薬の使用など、認知機能や身体活動に影響が出やすい薬剤が投薬されていない者を対象にすると良いのではないか?など因果関係を検討するための実験計画について議論されました。

Tamiya et al. Hypnotics and the Occurrence of Bone Fractures in Hospitalized Dementia Patients: A Matched Case-Control Study Using a National Inpatient Database. 2015 PLOS ONE . 10(6):e0129366.
DOI: 10.1371/journal.pone.0129366. eCollection 2015.