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主任教授挨拶

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主任教授 桝屋二郎



本学における精神医学の草創は、大正5年の創学当初から呉 秀三 先生の弟子である三宅 鑛一 先生や歌人としても高名な斎藤 茂吉 先生などによって講義が行われておりました。精神科診療ということになりますと昭和2年9月の附属戸山病院の開院に始まります。大正7年の医学専門学校認可以来、林 倫行 教授、谷口 本事 教授、橋 健行 教授、安部 達人 教授、村松 常雄 教授が着任され、昭和21年の大学昇格後、急逝した杉田 直樹 教授の後任として昭和25年1月に着任された柴田 農武夫 教授が教室として独立を果たされました。以降、加藤 正明 教授、三浦 四郎衛 教授、清水 宗夫 教授、飯森 眞喜雄 教授、井上 猛 教授と引き継がれ、当分野は発展を続けてまいりました。その間にはWHOの事務局長を10年に渡って務められた中嶋 宏 先生など幾多の人材を輩出してきております。
 当分野の目指すところは臨床・教育・研究の全ての面で弱者性を抱えた方にも全人的医療を届けていく原動力になっていくことです。患者様や疾患、ご家族の支援、そういった様々な視点において、身体面のみならず心理的・社会的な面からも総合的に捉え、個々の患者様やご家族のニーズや思いに寄り添った医療を提供する全人的医療では心のケアも必須となってくるわけですが、当分野は心のケアの実践やコンサルテーション、教育や研究を通じて、他分野・多職種と密な連携を行い、貢献してまいりたいと考えています。高度で偏りのない精神科医療を実現するために、小児から高齢者まで対象とでき、様々な精神疾患とその治療・支援にも精通した医療スタッフを多数揃えていることも当分野の特徴です。例えば東京都内には10か所以上の大学病院本院が存在していますが、その中で児童精神科部門の開設や認知症疾患医療センターへの参画を同時に行っている大学病院本院は当院を含めて数カ所に留まります。全ての年齢層・全ての精神疾患を対象にできる高度な精神科臨床・精神医学教育・精神医学研究を維持していくべく努力を重ねています。
 臨床面では当科病棟は小児から高齢者まで幅広い年齢層、幅広い疾患の患者様を受け入れています。もちろん地域医療機関からの御紹介患者様も積極的に受け入れております。治療選択としても、精神科薬物療法や電気刺激療法、個人向けの心理・社会療法のみならず、マインドフルネスプログラムやペアレントトレーニングプログラムなど、より専門的な集団精神療法プログラムも実施しています。
 研究面では、小児期の逆境体験が中長期に渡って心理・身体・社会的な様々な悪影響を及ぼし続けるメカニズムの解明に取り組んでいる他、児童精神医学研究、精神病理学研究、精神保健学研究も盛んです。多くの価値ある英語論文を生み出し、発展を期しています。
 教育面では心のケアを実践できる医師・看護師の要請のために多くの学生への指導を双方向や教育用VR(仮想体験)機器を加圧用して実施している他、精神保健指定医・精神科専門医・関連サブスペシャリティ専門医の教育研修施設として良質な精神科医の輩出に寄与しています。
 今後も教室員一同、精進を重ね、精神医学の発展に期して参るべく努力してまいりますので、多くの皆様に入局や連携を御検討していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。