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抄読会 2018/9/3

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、自閉スペクトラム症に特有の自殺のリスク要因について検討した論文が取り上げられました。自殺の危険性(SBQ-R)、非致死性の自傷(NSSI-AT)、精神的健康問題、十分な支援が得られていないこと、雇用、生活習慣への満足感、自己報告式の自閉症スペクトラムの症の特性(AQ)、自閉スペクトラム症の診断の遅延、自閉スペクトラム症の診断であることを隠していることに関して、Web調査を行いました。対象者は、自閉スペクトラム症の成人164名(男性65名、女性99名)と一般成人169名(男性54名、女性115名)でした。統計解析の結果、自閉スペクトラム症群において、自殺リスクのカットオフ値を上回った者の割合(72%)は、一般集団(GP)成人(33%)と比較して有意に高いことが示されました。さらに、自閉スペクトラム症群においては、非致死性の自傷、十分な支援が得られていないこと、自閉スペクトラム症の診断であることを隠していることは、自殺率を有意に予測することが示されました。以上のことから、非致死性の自傷、失業、および精神的健康の問題は、自閉スペクトラム症と一般成人に共通する自殺のリスク要因であることが示唆されました。本論文の抄読を受けて、うつ、自殺念慮、自傷を主訴とする患者さんの背景には発達的な特性がないかについて慎重に検討することが重要であることについて改めて再認識をしました。また、自閉スペクトラム症における自殺の理解と予防的支援のために非致死性(髪をかきむしる、爪を噛むなど)の自傷の頻度や本人が求めている支援が得られているかの確認、カミングアウトの支援などの観点が重要である点が議論されましたる。

Cassidy et al., Risk markers for suicidality in autistic adults. Mol Autism. 2018:42. eCollection 2018.

doi: 10.1186/s13229-018-0226-4.

PMID30083306