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抄読会 2018/9/10

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、うつ病患者と双極性障害患者を対象に、小児期に体験したトラウマ(虐待など)の割合を示し、そのトラウマ体験傷と親の養育のパターンが、抑うつ症状および対人関係の機能に及ぼす影響について検討した論文が取り上げられました。本研究ではアイルランド北部の精神科に通院するうつ病患者22名と双極性障害患者27名に対し質問紙調査を実施しました。その結果、うつ病患者の82%、双極性障害患者の74%の者が小児期にトラウマ体験を経験したと報告しました。また、小児期のトラウマ体験と母親の過干渉(Affectionless control)は成人期の抑うつ症状と対人関係の回避を予測することが示されました。本研究の結果から小児期のトラウマ体験と母親の過干渉的な養育態度が成人期のうつ病および双極性障害の予後の悪さを予測する可能性が示唆されました。本論文の抄読を受けて、(1)本研究においてうつ病と双極性障害を混合して解析した意図は何か、(2)どのようにPBIの下位因子のカットオフ値を設定したのか、(3)自記式の質問用紙による虐待体験の報告であるため、本当に虐待があったのか、客観的な評価が必要である点について議論されました。

Marshall et al., The association between childhood trauma, parental bonding and depressive symptoms and interpersonal functioning in depression and bipolar disorder. Ir J Psychol Med. 2018: 35(1):23-32.
doi: 10.1017/ipm.2016.43..
PMID:30115203