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抄読会 2018/5/14

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、概日リズムの傾向(朝方、夜型)が気分の落ち込みと高揚に与える影響を気質が媒介しているか否かを検討した論文が取り上げられました。ポーランドで実施されたWeb調査において、朝型の概日リズム傾向を測定する質問紙であるComposite Scale of Morningness (CSM)、双極性障害傾向(気分の高揚やイライラ感など)を測定するMood Disorder Questionnaire (MDQ)、躁的な気分症状を測定するHypomania Checklist-32 (HCL-32)、気質を測定するTemperament Evaluation of the Memphis, Pisa and San Diego-Autoquestionnaire (TEMPS-A)に回答を求めました。Web調査に回答した1449名(男性402名、女性1047名)の回答を媒介分析した結果、朝型の概日リズムは、循環気質と焦燥気質を介して、双極性障害の傾向を強めており、直接的には影響していないことが示されました。他方で、抑うつ気質と不安気質を媒介因子とした場合、朝型の概日リズムが双極性障害傾向の強さ直接的にも影響しており、抑うつ気質と不安気質を介して双極性障害の傾向を強めていることが示されました。以上のことから、概日リズム傾向が気質を介して気分の落ち込みや高揚に影響を与えている可能性が考えられます。本研究の抄読を受けて、当科では、完全媒介と部分媒介の違いは何か、係数値の解釈をどのようにすると良いかなど統計の基礎的な情報共有をしました。さらに、概日リズムの傾向が気質に影響を与えるだけではなく気質が概日リズムに影響を与えている可能性もあるのではないかという、仮説の方向性について議論されました。当科においても概日リズムと気分障害に関する研究を実施する計画があるため、研究に関する基礎的な情報の収集を進めております。

Chrobak et al. The role of affective temperaments assessed by the Temperament Evaluation of Memphis, Pisa and San Diego-Autoquestionnaire (TEMPS-A) in the relationship between morningness-eveningness and bipolarity. 2018 J Affect Disord, 232:83-88.

DOI: 10.1016/j.jad.2018.02.017