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抄読会 2018/4/2

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、不眠と健康に関連した生活の質(Health-related quality of life: HRQOL)と仕事の生産性および活動性の障害の関連について大規模サンプルで検討した論文が取り上げられました。2005年にアメリカで実施された大規模調査であるNHWSNational Health and Wellness Survey)のデータを使用し19711名のデータを対象に解析が実施されました。その結果、19711名中5161名(全体の26.1%)が不眠群の基準に該当しました。不眠群は非不眠群と比較してHRQOL(身体的なQOL、精神的QOLの双方)の得点が低く、活動性の障害の得点が高く、仕事の欠席率と生産性の損失が高いことが示されました。本研究の結果から、不眠はHRQOLの低さと仕事の生産性の損失や活動性の障害と関連することが示唆されました。一方で、本研究は横断研究であることから、因果関係の推論は困難であること、本研究のデータからは不眠症状の重症度に関しては言及できないことが限界点として挙げられました。本研究の抄読を受けて、当医局では仕事の生産性(プレゼンティズム)の概念や測定法についての確認と、本研究による知見が、現実的にどのような臨床像となるのか、そのような人たちの現実的な損失はいくらになるのかについて推定的に換算し、当科のS-PANDA研究で測定しているプレゼンティズムでどのような解析をするかに関して医局員間で共有しました。

Bolge et al. Association of insomnia with quality of life, work productivity, and activity impairment. 2009 Qual Life Res, 18(4):415-422.

doi: 10.1007/s11136-009-9462-6.