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抄読会 2018/2/5

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、末期がん患者におけるspiritual well-being、抑うつ症状と終末期の絶望感の関連を検討した論文が取り上げられました。アメリカのMemorial Sloan Kettering Cancer Centerに通院する余命3カ月未満のがん患者160名に対し調査を行った結果、spiritual well-beingと死期を早めたいという願望(r=0.51), 絶望感(r=0.68), 自殺企図 (r=0.41)の間に有意な相関が認められました。また、重回帰分析の結果、spiritual well-being は抑うつ症状や各変数の共変量よりも強い予測因子であり、spiritual well-beingの高い者は低い者よりも抑うつ症状と死期を早めたいという願望の相関が弱いことが示されました。この結果から、spiritual well-beingが終末期の絶望感何らかの防御作用をしている可能性が考えられ、緩和ケアの実践において重要な示唆を与えると考えられます。本論文の抄読を受けて、当医局では、対象者をどのように選定しているのか(特に精神疾患の既往の除外など)に関して疑問点が挙げられました。また、研究にエントリーした3212名のうちの73%が重症度の高さによって除外されている点からがん患者の研究の難しさと研究の希少性が議論されました。

McClain et al., Effect of spiritual well-being on end-of-life despair in terminally-ill cancer patients. 2003 Lancet. 2003 361(9369):1603-1607.

doi: 10.1016/S0140-6736(03)13310-7