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抄読会 2018/2/26

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、小児期の社会経済的地位、小児期の虐待、メンタルヘルス、全般的健康、主観的well-beingの関連および、小児期の社会経済的地位と虐待における想起バイアスを検討した論文が取り上げられました。ノルウェーで実施された大規模研究であるTromso研究のうち、第4回目の調査と第6回目の調査の双方に参加した10325名が対象となりました。横断的な解析の結果から、小児期の心理的虐待と身体的虐待は、小児期の社会経済的地位が成人期のメンタルヘルス、一般的な健康状態およびwell-beingに与える影響をそれぞれ媒介することが示されました。一方で、本研究では想起バイアスが存在することも示されているため、横断的分析の結果はバイアスを考慮する必要性が示唆されました。本論文の抄読を受けて、本論文の構成が複雑であったため、医局員でもう一度内容の理解を確認しました。そのうえで、小児期の社会経済的地位が成人期の健康のあらゆる側面に与える影響を、小児期の虐待が悪化させる可能性が示されていること、また、その結果は虐待の種類の重複(例えば、身体的虐待と心理的虐待の双方を受けている者の成人期の健康が良くない)が関係していることを医局員間で共有しました。また、想起バイアスに関しては第4研究と第6研究の間に13年の期間が空いていることから、バイアスがかかることは避けきれないだろうという意見があり、バイアスを考慮するとどのような理解をすると適切かについて議論されました。

Sheikh et al., Differential Recall Bias, Intermediate Confounding, and Mediation Analysis in Life Course Epidemiology: An Analytic Framework with Empirical Example. 2016 Front Psychol. 23 (7):1828.

doi: 10.3389/fpsyg.2016.01828