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抄読会 2018/1/29

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、職業性ストレスとうつ病による休職の関連を検討した論文が取り上げられました。日本の工場で勤務する18歳から67歳の男性のうち精神疾患の既往がない者15256名を対象に大規模調査を行い、デモグラフィックデータ(性別・年齢・教育年数・婚姻等)、神経症傾向(EPQ)、抑うつ症状を前方視的に調査しました。その結果、平均観測期間5.14年の間に47名にうつ病による30日以上の休職期間が認められました。うつ病による休職に関連した要因は、ベースライン時の「仕事のコントロール度」の高さ(HR 0.28, 95%CI 0.11-0.71)と「仕事の役割のあいまいさ」の高さ(HR 3.49, 95%CI 1.43-8.49)であることが示されました。この結果から、仕事のコントロール感と仕事の役割のあいまいさは、その時点での抑うつ症状の強さや神経症傾向にかかわらず、休職率を高める可能が示唆されました。本論文の抄読を受けて、当医局では、本論文の対象となった工場の作業の仕事をしている者は残業がない(可能性が高い)ため、この結果があてはまるかもしれないが、デスクワークをしている者は残業を考慮する必要があるのではないかという疑問について議論されました。

Inoue et al., Job stressors and long-term sick leave due to depressive disorders among Japanese male employees: findings from the Japan Work Stress and Health Cohort study. 2010 J Epidemiol Community Health. 64(3):229-35.

doi: 10.1136/jech.2008.085548.