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抄読会 2017/12/25
2017.12.25 15:41
投稿者 : HP管理者
カテゴリ : お知らせ
プレゼンティズム(presenteeism)とは、職場や学校などに出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態を指します。一方、アブセンティズム(absenteeism)とは欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態を指します。本日の抄読会では日本の公務員を対象に、プレゼンティズムとアブセンティズムに関連するデマンドコントロールサポートモデルの要因を検討した論文が取り上げられました。本研究では、日本の、2535名の地方公務員に対してアンケート調査を実施し、基本情報、プレゼンティズム(作業支障度/作業効率得点)とアブセンティズム(欠席)、職業性ストレス(仕事の要求度/仕事のコントロール度)と職場のソーシャルサポートに関して回答を求めました。
統計解析の結果、男女ともに仕事のコントロール度の高さは作業支障度の高さに対する有意な緩衝効果が認められました。また女性においては、仕事のコントロール度の高さが作業効率得点の低下に対する有意な緩衝効果があることが示されました。同様に仕事の要求度の高さは男女ともに作業支障度に有意に関連し、女性では作業効率得点が有意に低下することが示されました。また、上司からのサポートの高さは女性では作業支障度の高さ、男性では作業効率得点の低下にそれぞれ有意な緩衝効果が認められました。さらに、同僚の支援は、男性の作業支障度の高さ、男女ともにアブセンティズムの高さに対して緩衝効果が認められました。加えて、仕事の要求度の高さと上司のサポートの低さの組み合わせは、女性のアブセンティズムを除くすべての要因の悪化に関連することが示されました。同様に、職場の緊張度の高さと同僚からのサポートの低さは男性の作業効率の得点の低さ以外の要因と関連していることが示されました。これらの結果から、職場の環境(就業の)管理がプレゼンティズムに関連し同僚からのサポートがアブセンティズムに関連する要因であることが示唆されました。
本論文の抄読を受けて、当科では、扱う要因の多さから、結果の読み取りを抄読会時に医局員で行い、本論文の理解を深めるように取り組みました。また、当科での進行中のS-PANDA研究でプレゼンティズムとアブセンティズムの要因も扱うため、プレゼンティズムとアブセンティズムに対する関心が高まっています。
Saijo et al., Social support and its interrelationships with demand-control model factors on presenteeism and absenteeism in Japanese civil servants. 2017 Int Arch Occup Environ Health. 90(6) 539-553.
doi: 10.1007/s00420-017-1218-y.
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