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抄読会 2017/11/13

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では,光トポグラフィー検査(NIRS)によって測定された脳の血流量と抑うつ症状との関連を検討した研究が取り上げられました。本論文では、地方都市の大学病院の精神科に通院する者43名(うつ病、双極性障害、統合失調症、パニック症など複数の診断をもつ)を対象にNIRSと抑うつ症状の重症度の測定を行い、その関係性が検討されました。その結果、診断に関係なく抑うつ症状の重症度と脳の血流量の間に負の相関が認められました。一方で、抗うつ薬を使用している者23名を除外して解析した場合に有意な相関は認められず、さらに、うつ病患者のみを解析の対象にした場合にも有意な相関は認められませんでした。以上のことから、診断にかかわらず、抑うつ症状が強い程NIRSによって測定される脳の血流が悪いことが示されました。また、今後は治療方法とNIRSの結果の関連を検討が必要であることが考察されました。本論文の抄読を受けて、当科の診療で活用されているNIRSについて、改めてその計測方法やその結果の見方について復習しました。また、抑うつの重症度だけならば臨床診断で困ることはないが下記の参考文献も参照に老年期の認知症との鑑別などの観点を含めると、改めてNIRSが有効なのではないかという点について議論されました。

Kawano et al. Correlation between frontal lobe oxy-hemoglobin and severity of depression assessed using near-infrared spectroscopy. J Affect Disord. 2016 Nov 15;205:154-158. 

doi: 10.1016/j.jad.2016.07.013.

<その他参考文献>

Zhang et al. Near-infrared spectroscopy for examination of prefrontal activation during cognitive tasks in patients with major depressive disorder: a meta-analysis of observational studies. Psychiatry Clin Neurosci.2015 Jan;69(1):22-33.doi: 10.1111/pcn.12209.

Kito et al. Comparison of alterations in cerebral hemoglobin oxygenation in late life depression and Alzheimer's disease as assessed by near-infrared spectroscopy. Behav Brain Funct. 2014 Mar 17;10:8. doi: 10.1186/1744-9081-10-8.