本日の抄読会では、成人の社会経済的地位とQOL（あるいは幸福度）の関連について検討した論文のシステマティックレビューが取り上げられました。2012年1月の時点における、社会経済的地位とQOLの関連を検討した論文を電子データベースから系統的に検索した結果，80編の論文は抽出され、さらに除外包含基準を満たした論文12編が最終的な解析の対象となりました。抽出された12編の論文は、異質性が高くそれぞれの論文で仮定されている理論に違いが見られました。また、解析の手法によって結果が異なるなど結果の不一致が見られました。これらの結果から本論文では、社会的経済地位の研究をする際には、背景理論を包括的に検討した上で、また、文化的な背景を考慮して検討することが重要であると指摘されました。本論文の抄読を受けて、当医局での社会的経済地位の研究がどの背景理論に当たるのかなどの理解を深めました。また、本論文で扱っている社会的経済の概念が主観的な社会的地位を指すのか客観的な経済的地位を示すかなど，どのような概念を指して論じられているかを精読し、今後の研究の先行研究としてどのように活用できるか検討しました。

Niedzwiedz, C. L., et al. Life course socio-economic position and quality of life in adulthood: a systematic review of life course models. 2012 BMC Public Health.; 12(1):628.

DOI: 10.1186/1471-2458-12-628.

PMID: 22873945