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抄読会 2017/7/24

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、がんと大うつ病性障害を併発している患者に対する統合的アプローチ(SMaRT Oncology-2)の効果を検討した論文が取り上げられました。イギリスの医療機関に通院するがん患者のうち大うつ病性障害を併発している者1428人を対象とし、最終的に除外包含基準を満たした500名を通常ケア群(247名)と統合的アプローチ群(253名)にランダムに振り分け、その介入効果を検討しました。その結果、統合的アプローチ群の62%と通常ケア群の17%が良好な治療反応性を示しました(調整オッズ比で8.5倍統合的アプローチ群の方が好反応)。これらの結果から、がんと大うつ病性障害を併発している患者に対する統合的アプローチの有効性が示されました。本抄読を受けて、具体的なSMaRT Oncology-2の内容に関する質問とその理解について共有されました。また、統合的アプローチ群では抗うつ薬を使用するなどの薬物治療と心理療法(問題解決療法+行動活性化療法のスキルの組み合わせ)がされているのに対し通常ケア群ではその双方が使用されていないため、何が効果的に働くために症状が改善するのかについて断定できない点、プラセボ効果はどのように考察されているかが疑問点として挙がりました。また、がん患者全体に対する精神科的なケアが必須なのではないかという意見も上がりました(現状では患者が訴えない限り必ずしも連携されているわけではない)。

Sharpe, M. Integrated collaborative care for comorbid major depression in patients with cancer (SMaRT Oncology-2): a multicentre randomised controlled effectiveness trial. 2014 Lancet. ; 384(9948):1099-1108.

DOI: 10.1016/S0140-6736(14)61231-9.

PMID: 25175478