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抄読会 2017/6/27

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、うつ病の親を有する家族に対する心理社会的介入の効果を検討した論文が取り上げられました。フィンランドの医療機関に通院するうつ病の親を有する家族119家族に対し研究協力の依頼を行い、承諾の得られた家族をLT群(2セッションの親のみの心理社会介入を行う群)とFTI群(6~8セッションで家族全員が参加する心理社会介入)の2群にランダムに振り分け、その介入効果を検討しました。その結果、LTFTI群の双方で子どもの情緒的な症状、不安、多動が減少したことが示されました。また、子どもの情緒的な症状に関してはFTI群の方が早期から有効であったことが示されたものの、長期的には双方の群で同様の効果が認められました。以上のことから、うつ病の親を有する家族に対する家族介入が子どものメンタルヘルスを向上させることが示唆されました。

本論文の抄読を受けて、具体的にどのようなことを話題にすることで、精神疾患の抱える親を支援することができるかについてプログラムの内容の理解を深めることができました。家族全員で心理社会的な介入を行うことは家族も医療者も難しいことが多く、親のみの短期の介入で子どものメンタルヘルスの問題に効果的なLTのプログラムのさらなる知見の報告が期待されます。

LTLet`s Talk about Children2セッションで親のみが参加),FTIFamily Talk Intervention 6-8セッションで家族全員参加)、双方ともに子どものレジリエンスを向上させることが目的の心理社会的介入。

Solantaus et. al. Preventive interventions in families with parental depression: children's psychosocial symptoms and prosocial behaviour. 2010 Eur Child Adolesc Psychiatry. 2010 19(12): 883-892.

DOI: 10.1007/s00787-010-0135-3