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抄読会 2017/6/12

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、親の社会経済的背景が子どもの睡眠に与える影響を検討した論文が取り上げられました。イギリス西部の湾岸都市で19914月から199212月に出産予定の14000人以上の妊婦に協力を依頼し、最終的に13978人の子どもが研究参加者となりました。出生時より定期的に自記式質問紙による調査を実施し、子どもが9歳になるまでの睡眠パターンの決定要因を検討しました。ロジスティック回帰分析の結果、睡眠に対する環境的な悪影響(例えば、騒音や室内が寒いなど)が1つ以上あることで子どもの睡眠上の困難(例えば、寝つきの悪さ、早く起きすぎるなど)を1つ以上有する確率が10~20%上昇することが示されました。また、親が収入的に富裕層にぞくする家庭の子どもは、出生後115か月以内に睡眠の困難を示す確率が低いことが示されました。以上の結果から、親の所得の高低や、睡眠を阻害する環境などの環境的な不備があることが子どもの睡眠の困難を引き起こす要因の1つであることが示されました。なお、限界点として、調査の地域や人種が限定的である点が挙げられました。本抄読を受けて、具体的に睡眠を阻害する環境要因のうちどの要素が子どもの睡眠に悪影響を与えているのか知りたいという疑問点が上がりました。また、子どもの睡眠覚醒リズムの確立までの過程について補足があり、その点を医局員で共有することができました。

 Barazzetta M & Ghislandi S. Family Income and Material Deprivation: Do They Matter for Sleep Quality and Quantity in Early Life. 2 Sleep. 2016 Nov 28. pii: sp-00429-16.

PMID: 27923430