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抄読会 2017/5/29

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、双極性障害患者に対する認知行動療法(CBT)の効果を検討した論文が取り上げられました。双極性障害患者に対し認知行動療法的介入を行った、ランダム化比較試験を対象にメタ解析を行った結果、19編の論文が抽出され1384名の双極性障害患者が解析の対象となりました。メタ解析の結果、CBTは再発率を低減させ(対象研究をまとめたオッズ比 = 0.506; 95% CI = 0.278 −0.921)抑うつ症状(Hegges's g=−0.494; 95% CI = −0.963−0.026)、躁症状(Hegges's g= −0.581; 95% CI = −1.127 −0.035)、心理社会機能 Hegges's g = 0.457; 95% CI = 0.1060.809)を改善することが示されました。以上の結果から、CBTは双極性障害の気分症状の再発率の低下や、抑うつ症状、躁症状、心理社会機能の改善に中程度効果的であることが考察されます。また、サブグループ解析の結果では、90分以上のセッションのCBTの場合に、より抑うつ症状あるいは躁症状の改善が見られ、CBT実施による再発率は双極性障害I型で低い可能性が示唆されました。本抄読を受けて、メタ解析の方法と結果の見方(効果量の解釈)について確認し、メタ解析の論文を読む際にどのような点に注目すると論文の質が確認できるかについて共有しました。また、今回解析対象となった論文の介入、対照群、主たる結果の範囲が広すぎる点について疑問が上がりました。論文の内容だけではなく、その論文の結果をどの程度信頼して読むかなど、限界点を考慮しながら読むことが重要であることを再認識する機会となりました。

 Chiang et al. Efficacy of cognitive-behavioral therapy in patients with bipolar disorder: A meta-analysis of randomized controlled trials. 2017 PLoS One 12(5):e0176849.

doi: 10.1371/journal.pone.0176849.