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抄読会 2017/5/22

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、日本の交代制勤務ではない一般就労者の不眠に関連する要因を検討した研究が取り上げられました。172名の一般就労者に対し、社会経済的背景、職業性ストレス、気質不眠に関する調査用紙を配布し、そのうちの133名から回答が得られました。その結果、アテネ不眠尺度(AIS)によって不眠と判断された者は48名でした。また、階層的ロジスティック回帰分析の結果、職業性ストレスのうち「役割葛藤」の高い者がオッズ比で5.29倍、気質のうち「不安気質」を持つ者がオッズ比で1.33倍不眠(AIS)の得点が高いことが示されました。以上の結果から、一般就労者における不眠症状の強さには職業上本人の希望する役割が現実の役割と一致していないことと、日常的な不安が強いことが関連していることが示唆されました。本抄読を受けて、当医局では、ロジスティック回帰分析の方法についての確認の上、本論文の目的を再確認しました。また、本研究は横断研究であるため、因果関係の方向性の仮定が難しいのではないか(例えば不眠だから不安が強まるのか不安なことで眠れないのかの方向性の仮定が困難)という点が議論となりました。また、当医局においても不眠の程度と仕事の効率の良さについても現在調査を実施しているため、その考察のための理解を深めることができました。

Deguchi, et al. Relationships between temperaments, occupational stress, and insomnia among Japanese workers. 2017 PLoS One 12(4), e0175346.

doi: 10.1371/journal.pone.0175346.