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抄読会 2017/5/15

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、双極性障害患者の睡眠時間の異常がうつ病相の再発とどのような関係があるかを検討した論文が取り上げられました。アメリカのカリフォルニア州の医療機関に通院し、STEP-BDに参加した双極性障害患者246名(回復期の者93名、うつ病相の者153名)に対して縦断的観察質問紙調査を実施ししました。研究開始時点での睡眠時間の異常(異常:6時間以下または9時間以上の睡眠時間)と抑うつ症状の縦断的変化に関して生存分析を用いて統計解析を実施した結果、回復期の双極性障害患者の睡眠時間の異常とうつ病の再発に関連が示されました。同時に、不安障害の生涯有病率のある者の方が

抑うつの再発率が高いことが示されました。一方でうつ病相群における睡眠時間の異常者はうつ病の再発とは関連しないことが示されました。以上の結果から、睡眠時間の異常が双極性障害の再発予防の重要な治療目標となり得ることが示唆されました。本抄読を受けて、当医局では、サンプルバイアスが結果に影響していないのかについて疑問が生じました。例えば、アルコール・物質使用障害を併発している者の割合が抑うつ群で7678%と通常示される有病率よりも多く、その背景を精査する必要があるのではないかという指摘が出ました。また、生存分析の手法についても理解を深める機会となりました。

 ershon, et al. Abnormal sleep duration associated with hastened depressive recurrence in bipolar disorder.C. 2017 J Affect Disord 8;218:374-379.

doi: 10.1016/j.jad.2017.05.015