本日の抄読会では、治療統合失調症患者のWAIS-IVにおける認知プロフィールについて検討した論文が取り上げられました。カナダの医療機関に通院する統合失調症患者37名と健常者185名にWAIS-IVを実施し（統合失調症の症状評価であるPANSSも実施］）、その認知プロフィールを比較しました。その結果、統合失調症患者は健常者と比較して「理解」、「絵画完成」、「記号探し」、「符号」、「絵の抹消」の得点が有意に低いことが示されました。さらに群指数では「言語理解」に差がなく、「処理速度」に有意な差が認められました。このことから統合失調症患者は健常者と比べて言語処理をする能力に差がないものの、効率をよく作業をこなす能力に差が生じている可能性が示唆されました。

本抄読を受けて、当医局では、本論文の対象者の数が少ないこと、薬物の影響、発症前後とで比較されていない点が限界点であることを共有し、そのうえで心理検査に対する理解を深める機会となりました。日本ではまだ普及していないWAIS-IVですが、今後も最新の検査がいち早く取り入れられるよう積極的な情報収集していきたいと思います。

Michel, N. M., et al. WAIS-IV profile of cognition in schizophrenia. 2013 Assessment. 20(4):462-73.

doi: 10.1177/1073191113478153.