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抄読会 2017/3/6

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、双極性障害患者の概日リズムの関連について、生理学的・遺伝学的指標を用いて検討した論文がとりあげられました。本研究は韓国の医療機関にて入院治療中の26名の双極性障害患者と18名の健常者を対象に実施されました、参加者はアクチグラフィーを装着し、入院時、入院後2週間、退院時に概日リズムが評価されました。また、コルチゾール濃度と時計遺伝子は,2つ日間連続で8時、11時、15時、19時、23時に唾液と口腔粘膜を採取し測定されました。コルチゾール濃度の上昇と低下時刻及び時計遺伝子発現時刻の検討の結果、躁エピソード群には23名該当し、その群では健常者よりも7時間程度概日リズムが前進しており、その後治療により正常化(7時間後退)したことが示されました。混合エピソード群には3名該当し、その群では健常者よりも6-7時間程度概日リズムが後退していました。同様に抑うつエピソード群には5名が該当し、その群では健常者より4-5時間概日リズムが後退していることが示されました。両群共に入院治療によって概日リズムが正常化(後退した分の概日リズムの前進)が認められました。以上のことから、双極性障害の病態生理には生理学的・遺伝学的な概日リズムの乱れが関係していることが示されました。

本論文の抄読を受けて、当医局では双極性障害の概日リズムの関係について再確認したうえで、本論文が示すように、実際の睡眠時間に関係なく生理学的・生理学的指標のずれが生じている点について関心が集まりました。

 

 

Moon, J. H., et al. Advanced Circadian Phase in Mania and Delayed Circadian Phase in Mixed Mania and Depression Returned to Normal after Treatment of Bipolar Disorder. 2016 EBioMedicine 285-295.

doi: 10.1016/j.ebiom.2016.08.019.