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抄読会 2017/3/27

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、治療抵抗性の統合失調症患者39名を対象にクロザピン使用とクロザピン使用と電気けいれん療法(ECT)を併用した際の効果を検討した論文が取り上げられました。ニューヨークの医療機関に通院する92名をリクルートし、除外包含基準を満たした上で研究参加に同意が得られた39名をECT群(クロザピン使用+ECT)と非ECT群(クロザピンの単独使用)の2群にランダムに振り分け前方視的に治療を実施しました。本研究における改善の定義はBPRSの改善率40%以上の改善、CGI-S3点以下で2点以上の改善と定義されました。その結果、クロザピンの単独使用群では改善が0例でクロザピン+ECT群では改善が10例という結果が認められました。また、BPRSCGI-Sにおける両群の治療の効果を比較した結果、治療後3週目から有意差が認められました。両群の陰性症状、副作用、認知機能の側面の治療効果に有意差は認められませんでした。以上のことから、クロザピン抵抗性のある統合失調症患者において、ECTを増強療法として使用することは安全かつ効果的な選択肢となり得ることが示されました。

本論文の抄読と統合失調症ガイドラインの補足を受けて、本院の病棟で導入が開始するクロザピン治療に対する基礎的な理解を共有することができました。本医局の抄読会では、先進的な治療を安全に提供するため研究のみならず実臨床に役立つテーマについても紹介しています。

 

Petrides, G., et al. Electroconvulsive therapy augmentation in clozapine-resistant schizophrenia: a prospective, randomized study. 2015 Am J Psychiatry. 172(1) 52-58.

doi: 10.1176/appi.ajp.2014.13060787.