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抄読会 2017/2/13

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、主観的社会経済的状況(Subjective Socioeconomic Status:SSS)と怒りの関連を検討した論文が取り上げられました。本論文では、SSSと怒りに関連した7つの研究の研究が紹介されていました。研究1a、研究1b、研究2では、横断的質問紙調査からSSSと特性的攻撃性の間に負の相関が示され、SSSの低さが特性的攻撃性に与える影響は、自身が不利であるという認識を介していることが示されました。次に、研究3、研究4.研究5、研究6は、実験的な手法により、SSSの違いが攻撃性に影響するかを検討した研究でした。その結果、SSSの低さは、自身を不利だと感じている認識および状態的な敵意を介して攻撃行動を増加させていることが示されました。以上のことから、相対的な社会的不平等の改善が対人的な敵意を減らすことに有効であると考察されました。本論文の抄読を受けて、当医局では、SSSと客観的社会経済的状況との違いについて議論されました。医局の新研究において、詳細な個人要因(神経症傾向やレジリエンスなど)を含めて検討を進めることによってSSSのさらに理解が深まることが期待されます。

Greitemeyer, T., & Sagioglou, C. Subjective socioeconomic status causes aggression: A test of the theory of social deprivation. 2016 J Pers Soc Psychol 111(2):178-94. 

doi: 10.1037/pspi0000058.