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抄読会 2017/1/16

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、イタリアの気分変調症および小うつ病性障害患者30名を対象に短期力動的精神療法の効果を検討した論文が取り上げられました。参加者を(1)短期力動的精神療法群、(2)短期指示的精神療法群、(3)待機統制群の3群にランダムに振り分け、15~30セッションの心理療法(終了時(1)と(2)のセッション数にはなかった)を実施し、その効果に差があるかを検討しました。その結果、抑うつ症状、不安症状、機能障害の全ての側面において、(1)短期力動的精神療法群および(2)短期指示的精神療法群の両群が待機統制群と比較して有意な改善を示しました。また、心理療法終了6か月後のフォローアップでは、(1)力動的精神療法のみが抑うつ症状の得点の減少を認めました。以上のことから、短期力動的精神療法が気分変調症および小うつ病性障害の治療に効果的であることが示されました。本論文の抄読を受けて、当医局では本論文の対象サンプルの限界および統計的手法の適切性について活発な議論がなされました。当医局では、症状の重症度だけではなく軽症であっても慢性のうつ病に対して有効なアプローチに注目が集まっています。

 

Maina, G., et al. Randomized controlled trial comparing brief dynamic and supportive therapy with waiting list condition in minor depressive disorders. 2005. Psychother Psychosom, 74(1): 43-50.

DOI: 10.1159/000082026