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抄読会 2016/12/5

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、日本の若年健常者を対象に潜在的睡眠時間負債(各個人の適正な睡眠時間と実際の睡眠時間の差)と適正睡眠時間の関連を検討した論文が取り上げられました。20歳から26歳までの健常者を対象に,普段の客観的な睡眠時間をアクチグラフで測定し,その後,実験室で必要なだけ寝てもよいという条件で睡眠時間を測定したところ,自宅での習慣的な平均時間7.37(±0.23)時間に対し実験室では8.41(±0.18)時間の睡眠をとるという結果が示されました。また,通常の睡眠時間と実験室での適正な睡眠時間の差は1時間であったものの,その不足を補うためには4日間必要であり,潜在的な睡眠不足は糖代謝、甲状腺機能,視床下部-下垂体-副腎皮質系機能と関連することが示唆されました。以上のことから,日常生活での潜在的な睡眠不足を確認することは臨床評価として非常に重要であり,適切な睡眠時間の確立のためには、各個人の適正な睡眠時間,睡眠不足に対する脆弱性,睡眠の恒常性維持特性の評価をする必要があることが示されました。本研究の抄読を受けて、医局員たちの日常生活から本知見に対して様々な議論が行われ,睡眠時間以外にも睡眠の質に影響する要因があるのではないかなど様々な疑問があがり、それに対する活発な意見交換が行われました。

 

Kitamura, S., et al Estimating individual optimal sleep duration and potential sleep debt.2016 Scientific Reports 6, Article number: 35812.

doi:10.1038/srep35812