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抄読会 2016/10/24

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、境界性パーソナリティー障害(BPD)に対する弁証法的行動療法(DBT)と自殺傾向の共同評価と管理(CAMS)の治療効果をランダム化試験で比較した論文が取り上げられました。18歳から65歳までのDSM-ⅣのBPDの基準のうち少なくとも2つ以上を満たす者197名のうち除外包含基準を満たした129名が解析の対象となりました。それぞれの介入(平均16(±3)セッション※DBTセッションのみ約8回の集団セッション)の結果、DBTCAMS群の双方で自傷・自殺企図の頻度の低減が認められたものの、治療法による差は認められませんでした。同様に、抑うつ症状、絶望感、自尊心の指標に対する効果においても両群で差は認められませんでした。本研究の結果から、DBTCAMSの治療効果に有意な差は見られなかったものの、手続き的な点を考慮すると追試が必要であると結論付けられました。本論文の抄読を受けて、当医局では、DBTの複雑な手続きを再現する難しさやBPDに対する短期的な治療をどう評価していくかという研究デザインの困難にどう工夫するかについて議論となりました。

 

Andreasson, K., et al. Effectiveness of dialectical behavior therapy versus collaborative assessment and management of suicidality treatment for reduction of self-harm in adults with borderline personality traits and disorder- a randomized observer- blinded clinical trial. Depression and Anxiety 2016. Jun; 33 (6): 520-30.

doi: 10.1002/da.22472. Epub 2016 Feb 8.